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しかし、今回はこの件ではなく、実はもっと深刻な懸念について取り上げたい。それは、日本の平和主義の「常識」を根底から覆すような政策変更が、国民の間で大きな議論を巻き起こすことなく比較的静かに実現してしまう状況が、日本において出現しているという話だ。
さらに、その状況をよく観察すると、ある事実に気づく。それは、国民が、「ある言葉」を提示されると、ほぼ無条件で思考が止まり、反対論を捨てて、従順な理解者に転じるという事実だ。
その「ある言葉」とは何かというと、「中国が危ない!」である。
このような現象が起きるためには、前提条件が必要だ。具体的には、国民の大多数が、中国に対して嫌悪・憎悪感を持つとともに、恐怖感も同時に有するという状態である。しかも、その恐怖感は巨大なものでなければならない。何か得体の知れない、言い知れぬ恐怖感という状況になっていれば効果的だが、今やそうした条件が整ってしまったように見える。
中国に対する好感度は様々な調査において非常に低い水準に下がっている。印象が良くないという嫌中感情が9割に達したという調査もあるほどだ。
また、「台湾有事」が盛んに喧伝された昨年以降、日本が台湾有事に巻き込まれるリスクを感じる人の割合も急速に高まっている。麻生太郎自民党副総裁が台湾有事は「日本の存立危機事態だ」などというとんでもない発言をしているが、それを聞いた人は、いかにも、中国が日本を攻撃する可能性が高いのだと勘違いする可能性がある。
さらに、中国の国防費が米国に次ぐ規模であることなども頻繁に報じられているため、強大な軍事力への「恐怖感」はいやでも高まる。
中国に対する国民の嫌悪・憎悪感と恐怖感が十分に高まるという条件が整った今、「中国が危ない」という短い言葉を提示すると、国民は自己防衛本能を働かせ、具体的な政策の内容如何に関わらず、何よりも中国に対抗するための政策を他に優先すべきだと判断するようになる。
こうした国民の思考回路、いや思考停止というべきかもしれないが、それが定着したために、本来であれば、大きな議論が起きるはずの政策大転換の際にも、小さなデモは起きるが、国全体で議論するには至らないという現象が起きているのだ。
これは、ある意味で、国民が洗脳されてしまった状態だと言っても良いのだが、この段階に至ると、さらにのっぴきならない事態が生じることに気づく。
それは、国民が洗脳状態にあるため、マスコミが、「中国が危ない」と叫ぶ政府などの議論に反対する論陣を張ると、国民から思わぬ批判を受けるリスクがあるということだ。洗脳されているので、それを解いて異なる論理で説得するのはかなりの手間がかかり、かつ成功率は高くない。
(略)
さて、嫌中洗脳状態が継続すれば、今後どうなるのか。
今日進められている、戦争のための防衛費拡大は、2%どころか3%、4%、5%とエスカレートしていくだろう。何しろ、敵は中国なのだからいくらあっても足りないということになる。
アメリカからの武器の爆買いも一段とギアアップするはずだ。
武器輸出の歯止めも完全に取り払われて、日本中に国有武器工場城下町ができて、武器輸出で潤う地方が増えるだろう。
そして、気づかぬうちに、セキュリティ・クリアランス法は改正強化され、戦争のために国家が国民一人一人を監視する仕組みに転化していく。
その先には、戦争を本当に可能にするために最も重要な「徴兵制」が待っている。絶対にあり得ないはずの核武装論も、タブーではなくなる。
そして、そうした戦争体制構築の過程では、2015年の集団的自衛権の行使容認反対デモの時とは全く異なり、大きな反対もなく、「中国が危ないなら、仕方ないね」「戦争は嫌だけど、あの危ない中国には備えないとね」という会話が聞こえるだけということになるのかもしれない。
そして、実際に戦争になるかどうかに関わりなく、対中戦争の準備のためにあらゆるリソースを投入することにより、日本経済は衰退し、国民は日に日に窮乏度を高めていくということが起きるのは確実だ。
嫌中洗脳状態を解き、冷静な政策の議論ができる状況を取り戻すことが、喫緊の課題である。
AERA
https://news.yahoo.co.jp/articles/e69728e137350921efba5ac4b4c0345cee7dfe0f?page=1