2024年4月4日 07時38分
クルド人など外国人が多い埼玉県川口市や蕨市で起きている特定の民族の排斥を訴える街宣・デモへの対応について、県や県警などに質問状を提出した市民団体は3日、県庁で記者会見し「川崎市のようなヘイトスピーチ禁止条例が必要だ」と訴えた。
会見を開いたのは「埼玉から差別をなくす会」。排他的な街宣やデモに反対する有志9人が3月に立ち上げた。
世話人の一人、会社員の中島麻由子さん(38)=さいたま市=は、街宣やネット上での差別的な言説は「クルド人の問題ではなく、日本に昔からある排外主義の表れだ」と主張。差別的な言動に対し刑事罰を科す条例を2020年に施行した川崎市ではヘイトデモが減少しているとし、「埼玉にも条例が必要だ」と求めた。
ネットなどでは、外国人住民が原因で川口、蕨市の治安が悪くなっているとの情報もあふれるが、川口市に住む折茂あいさんは「全然そう思わない」と否定。「多様なバックグラウンドを持つ住民が暮らす川口を誇りに思っている。住民や行政などが努力を重ねた結果だ。なのに行政や議員らが仕事をしていないかのように言われ、ショックだ」と心境を語った。
クルド人の知人は、差別的な主張がばらまかれたために学校で孤立したり、日本人に盗撮されたりし、不安を抱え生活への支障も来しているという。「こんなに良い地域なのに、外部から住民を分断する言葉や行為が持ち込まれ、不安が募っている」と訴えた。
両市での状況について3月28日に定例記者会見で見解を問われた大野元裕知事は「ヘイトスピーチは社会から徹底して排除されなければならない。県民一人一人が許さないという思いを持ち、日本人と外国人が共に地域を支える共生社会の構築を目指したい」と述べている。(飯塚大輝)