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《局内会議で痛恨の説明》NHK「大谷翔平と別選手を取り違え」誤報の背景に “大谷ニュース依存体質”「記者もデスクもチェック失念」
「犯罪に該当しないという見解は大谷選手ではなく、元ドジャースの選手が対象でした。確認が不十分でした。大変失礼しました」──新年度初日の4月1日、NHKの看板ニュース番組「ニュース7」で、この日からキャスターに就任していた副島萌生アナウンサー(32)が深々と頭を下げた。ドジャース・大谷翔平(29)の元通訳・水原一平氏(39)の「違法賭博問題」に関する報道が過熱するなかで起きた今回の “誤報”。ミスの裏には、NHK報道局の「大谷依存」があるという──。
NHKが誤りを認め謝罪したのは、3月30日に「ニュース7」で報じた「違法賭博問題 検事“送金は扱う犯罪に該当せず”米メディア」のニュース。大谷の口座からブックメーカー側へ送金されたことについて、「連邦捜査機関が扱う犯罪に該当しない」と担当検事が大谷の弁護士側に伝えたと、米ロサンゼルス・タイムズの記事を引用する形で報じていた。しかし、この記事は過去に別の賭博事件で捜査対象になったドジャースの元選手に関するもので、今回の大谷や水原氏の問題とは無関係だったという。
ネット上では〈こういうことがあると、ニュースの情報、何も信じられなくなる〉〈公共放送なんだからしっかりしてくれ〉などと批判の声が上がったが、NHKにとっても今回のミスは痛恨だったようだ。NHK関係者が語る。
「副島アナが謝罪した翌日の報道局の会議で、編集主幹が痛恨の面持ちで今回のミスの経緯を説明したんです。ロサンゼルス・タイムズの記事の書き出しが『The baseball star』から始まり、その後も『the player』と名前が出ずに記事が続けられていたことから、国際部の記者が『これは大谷の話だ』と誤解してしまったと。つまり、『引用した内容が誤りだった』わけでなく、『引用元を曲解してしまった』ミスだったわけです。
国際部では、引用元のデータはチャットアプリで共有され、デスクやシフト記者が複眼チェックするようになっている。しかし今回は記者・デスクともにそれを失念し、チェック機能が働かなかったとの説明でした。編集主幹は『基本をおろそかにした、あってはならないミスだった』と話していました」
ネタを取るため現場にハッパ
注目度の高い大谷のニュースに関する“誤報”だが、NHK報道局の関係者は「今回のミスは偶然ではない」という。
「今、NHKのニュース報道は“大谷頼り”になっています。4月から始まった約3時間の情報番組『午後LIVEニュースーン』の番組の進行表にも、スポーツコーナーの時間帯には “スポーツ(大谷)コーナー”と記載されている。水原通訳のスキャンダルもあり数字が取れるという目算があるので、国際部も“大谷・水原ネタ”を取るために現場にハッパをかけているんです。
『他社と比べて少しでも違う大谷ネタを』という競争の焦りの中で、今回のミスが生まれてしまった。ミスは起こり得ることですが、複数の人がチェックしていれば避けられるミスでした。最近は大谷のニュースばかり見せられることに対して『大谷ハラスメント』という言葉も生まれていますが、NHKも“大谷依存”の体制を改める必要があるのではないでしょうか」(前出・NHK関係者)
4月4日には「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)も、全く同じ記事を誤って引用したとして謝罪した。国民の関心を集めるニュースなだけに、正確な報道が求められる。
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