お花見シーズン真っ盛りだが、韓国では植民地時代を想起させる日本のソメイヨシノを済州島原産とされる王桜に植え替える動きが進んでいると、米紙が報じている。
【画像】米紙の報道「韓国人が日本のソメイヨシノを抜いて、韓国産の王桜に植え替えている」
朝鮮人に「文化的洗練さ」を植えつけた日本の桜
環境学者のシン・ジュンファン(67)は先日、開花寸前の桜並木を歩きながら、濃い紅色のつぼみの周りに生える細かい毛を観察した。
韓国の古都・慶州に咲いているのは、日本で一般的なソメイヨシノだ。シンの団体は、それらを韓国原産の王桜に植え替えたいと考えている。
「これらは私たち(韓国人)の祖先の土地で育っている日本の桜です」と、韓国の国立樹木園の元園長であるシンは言う。ソメイヨシノと王桜の見分け方は、王桜には毛がないことだ。
数十人のメンバーとともにシンが率いる植え替えプロジェクトはまだ始まったばかりだが、韓国の桜の起源をめぐる複雑な論争は長年続いてきた。
はかなさの象徴として詩人たちに讃えられる桜は、日本文化のなかで重要な位置を占めている。米ウィスコンシン大学人類学部教授の大貫恵美子によれば、桜は日本人のアイデンティティの象徴として江戸時代に国花に指定された。
そして20世紀の日本の軍事政権は、戦場で命を落とした兵士たちを散りゆく桜の花びらにたとえ、彼らは「短くも美しい人生」を終えたのだと喧伝した。
日本が朝鮮半島を統治していた時代には、朝鮮人に「文化的洗練さ」を教え込むためとして、この半島にソメイヨシノが植えられたと、『支配の種』(未邦訳)の著者で同時代の日本の政策に詳しいデビッド・フェドマンは言う。
以来、この桜は植民地主義をめぐる政治的問題と絡み合ってきた。韓国人は折に触れて、抗議のためにソメイヨシノの木を伐採してきたほか、1900年代初めに日本が米ワシントンに贈ったソメイヨシノも王桜に植え替えるべきだと主張する人たちもいる。
カリフォルニア大学アーバイン校で歴史を教えるフェドマンによれば、桜をめぐる政治は日韓関係とともに緊張と緩和を繰り返し、ナショナリストの主張のほうが科学的視点よりも幅を利かせてきた。
桜の品種に関する「遺伝学でさえ複雑に見え、私たちが求めているような簡単な答えは得られません」と、フェドマンは言う。