◆臨床データ不要、国の審査もなし
小林製薬は、「紅麹コレステヘルプ」など3製品を自主回収している。機能性表示食品で健康被害が明らかになり、事業者が自主回収をしたのは初めて。
機能性表示食品制度は、安倍政権だった13年6月の成長戦略で「健康食品の機能性を表示できる新方策」について記載され、導入が決まった。消費者庁に届け出れば、商品パッケージに機能性(効果)を表示できる。小林製薬の製品では「悪玉コレステロールを下げる」などと記していた。届け出には臨床試験データは必須でなく、機能性に関する文献なども認められる。国は文献の内容は審査しない。
◆「制度の欠陥があらわになった」
一方、それ以前からあった特定保健用食品(トクホ)は、国による審査と許可が必要で、機能性表示食品の方が企業にとっては活用しやすい。
制度を導入した際の消費者庁の検討会にも参加した消費生活コンサルタントの森田満樹さんは、小林製薬の製品について「この制度があったから悪玉コレステロールを下げると効果を書いて売り出すことができ、たくさん売れた結果として被害が広がった」と話す。さらに「消費者の利益ではなく、経済のための制度。安全性を置き去りにした制度の欠陥があらわになった」と指摘した。