しかし、SNSではみどりの窓口閉鎖に否定的な意見が多い。2024年3月には、みどりの窓口の対応に63人が待っていることが分かる写真と「周辺駅のみどりの窓口を全て潰した末路がこれ」というコメントがXに投稿され、3月18日までに約2万3千の「いいね」が付いた。この投稿には「公共交通なのに、公共性を蔑ろにしてる」といったコメントも寄せられた。
多くの人が券売機よりも有人窓口を使いたがっているようだ。交通経済・経営の民間シンクタンク「一般財団法人交通経済研究所」(東京)が以前行った調査では、券売機よりも有人窓口を使いたい理由として、以下の3点が挙がった。
・有人窓口は、係員が自分にとって必要なことや要望を聞き出し、必要な操作を全て行うために楽である。
・自分1人で券売機を利用するときには知らなかった切符の利用条件やお得な情報などを教えてもらえる。
・券売機の使い方が分からないと長時間占有してしまい、後ろに並んでいる人を待たせることになる。そのことにプレッシャーや恥ずかしさを感じる。
同研究所は、券売機をあまり利用したことがない人は「話せる指定席券売機のオペレーターが、対面の係員と同じように対応してくれるイメージがしにくい」と指摘。さらに、「人の姿が見える有人窓口は、困ったときに駆け込める最後の砦という安心感がある」という。
東京理科大社会基盤工学科の寺部慎太郎教授(交通計画)は、オペレーターについて「顔が見えないことに加え、機械に向かって話すことに違和感がある人も多い」とみる。また、「慣れていなければ機械操作に時間がかかるため、有人窓口の方が速やかに切符を買える。そういう人にとっては機械の利点が損なわれてしまう」とも指摘した。
有人窓口から話せる指定席券売機への円滑な移行について、寺部教授は「時間をかけないと難しい」と話す。駅をあまり利用しない人の場合は、最寄りの駅のみどりの窓口が廃止になったことを知らない可能性もあるとし、「JRが丁寧にきちんと説明し続けなければいけない」。交通経済研究所は「話せる指定席券売機が社会に浸透し、当たり前になるには、利用者がうまく機械を使いこなし、その利便性や快適性を認識する成功体験を積み重ねることが重要だ」とする。
読者の中には「もうすぐ最寄りの駅でみどりの窓口が廃止になる」という人もいるだろう。話せる指定席券売機が近隣の駅に導入された人もいるかもしれない。鉄道の旅が好きな記者にとって、みどりの窓口はちょっと複雑な切符の購入に欠かせない存在だ。閉鎖や縮小は寂しいが、最寄りの駅に話せる指定席券売機が設置されたら使わざるを得ない。何か操作に困ったときはオペレーターに積極的に話しかけ、少しずつ操作に慣れていきたいと思う。