◆2580万円を移した新藤義孝経済再生担当相のケース
新藤氏の秘書が会計責任者の政党支部「自民党埼玉県第2選挙区支部」は2022年、同じ秘書が会計責任者を務める「新藤義孝後援会」に約2580万円を寄付。後援会は約1270万円を政治資金規正法の分類で鉛筆や封筒などを指す「備品・消耗品費」に充てたとしているが、政党支部と比べて公開基準が緩いため、具体的に何に使ったか分からず、うやむやだ。
新藤氏は12日の参院内閣委員会で、備品・消耗品費には、事務所職員7~8人のガソリン代のほか、コピー機のリースや事務用品の購入費などが含まれていると主張。「法律に基づいて対応している」として、野党が求める会計帳簿の提出に否定的な姿勢を示した。
約1270万円の使途の疑問は消えず、後援会に直接、事情を尋ねようと、埼玉県川口市にある新藤氏の後援会兼支部事務所を12日に訪れた。だが、事務所での取材は断られ、その後、事務所の代理人弁護士からの文書回答でも「備品・消耗品費や光熱水費については、新藤議員が国会でお答えしている通り」と具体的な説明はなかった。
◆茂木敏充幹事長、小泉龍司法相、棚橋泰文元国家公安委員長も発覚
なぜ、使い道を明かさなくても許されるのか。後援会は「その他の政治団体」に分類され、収支報告書に記載する経常経費は備品・消耗品費や事務所費、光熱水費など、項目ごとの総額の記載だけでよく、領収書や会計帳簿の公開も求められていないためだ。
それに対して「国会議員関係政治団体」に当たる政党支部は、人件費を除いて1万円を超える支出があれば、収支報告書に1件ごとの明細を載せる義務がある。1円以上の領収書の写しを保存する必要があり、有権者らが請求すれば公開される。
国会議員関係政治団体は、相次ぐ政治とカネの問題を受け、07年の法改正で公開基準を厳しくした。政治資金の透明性を高める狙いだったが、後援会に寄付してカネを移す「抜け道」が横行して骨抜き状態だ。茂木氏や棚橋氏に加え、小泉龍司法相も同様の資金移動の問題が指摘されている。