朝日新聞
政府は昨年、日本で生まれ育った外国籍の子どもらに、強制退去処分が出ていても一定の条件を満たせば、人道的な理由から「在留特別許可」を与えて滞在を認める対応を始めた。今年1月末には、埼玉県川口市内で暮らすクルド人の一家にも許可が出た。今後の生活の展望が開けたことで、小学生の長女(10)は「日本で弁護士になりたい」と期待に胸をふくらませている。
在留特別許可は、非正規滞在者に、法務大臣の裁量で日本にとどまることを認めるもの。出入国在留管理庁によると、強制退去処分が出ている人には通常は認められることはない。
今回は、日本で生まれ育ち、改正入管難民法の施行時(昨年6月の公布から1年以内)までに小中高校で学んでいる子どもを対象に、基本的に家族とともに在留を認める。親が不法入国していたケースを除くなど一定の条件がある。
改正法の施行後は、難民認定の申請が3回目以降の人については、申請中でも強制送還できるようになる。国会審議などで、日本でしか生活したことのない子どもの保護が課題となったことを受け、政府はこうした対応を打ち出した。
川口市のクルド人男性(34)の家族には、5人全員に許可が出た。男性は2014年にトルコから妻と長女(当時0)と来日した。トルコで受けた就職試験で、クルド人であることを理由に不利な扱いを受け、妻の親戚がいる日本へ渡ることを決めたと話す。日本で翌15年に次女、19年に三女が生まれた。