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浮かんでは消えた「キツネ目の男」 「倉庫に社長監禁」12万5千人が捜査対象に グリコ・森永事件18日で40年
(出典:神戸新聞NEXT) |
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1 PARADISE ★ :2024/03/18(月) 20:58:17.66 ID:SsuPJ/Uk9
小屋の扉を開ける。コンクリートの床に、つたがはっていた。しんと冷えた空気が出動服に容赦なく入り込み、体の芯まで染みてくる。「こんなとこに、ほんまに社長がおったんかいな」。捜査員は、戸惑いながら白手袋をはめた。
【写真】江崎グリコの社長が監禁された水防倉庫
40年前の1984年3月21日夕、大阪府茨木市。淀川水系の安威川左岸にあった水防倉庫で、兵庫県警の現場検証が始まった。日本を代表する菓子メーカー「江崎グリコ」の江崎勝久社長(82)が監禁されていた場所だ。
捜査員が携わった検証は1週間ほど続いた。はしごが掛かった屋根裏のような2階の奥、大量の叺(かます)(わらむしろの袋)が積み上がった辺りに、閉じ込められていたことが確認された。
■10億円と金100キロ
発端はその3日前、3月18日の夜だった。兵庫県西宮市の江崎社長宅に3人組が押し入り、連れ去られた。
犯人は、脅迫状で「現金10億円 と 金100kg を よおい しろ」と要求。江崎社長は3月21日、監禁先の水防倉庫から自力で抜け出したが、これは終幕ではなく、一連の事件の始まりに過ぎなかった。
世に言う「グリコ・森永事件」。またの名を「警察庁広域重要指定事件114号」。犯人グループは「かい人21面相」を名乗り、企業や警察、マスコミに次々と脅迫・挑戦状を送りつけた。
標的は、森永製菓やハウス食品など計6社に拡大。その年の10月7日には、西宮市内のコンビニなどに青酸混入菓子がばらまかれ、小売店がこぞって店頭から商品を撤去する事態に発展する。
市民や報道機関を巻き込んだ最初の「劇場型犯罪」は、高度成長期が終わり、安定成長期に入っていた日本を震撼(しんかん)させた。
■キツネ目、ビデオ…
「入浴のタイミングまで把握しており、無駄がなく極めて緻密に計画された犯行」。兵庫県警、大阪府警などの合同捜査本部に加わった捜査員は、とば口となった江崎社長の誘拐事件をそう振り返る。
犯人グループはまず、ガラス窓をバーナーなどで熱する「焼き切り」の手口で母屋に侵入。そして中にいた家族から合鍵を奪い、社長がいた邸宅に堂々と入ることで、警備システムをかいくぐっていた。
内部犯行説、総会屋や外国人、暴力団の関与説、株価操作で利益を得ようとした仕手筋犯行説-。捜査線上にはさまざまな犯人像が浮かび、その全てが決め手を欠いた。
現金の受け渡しは、大阪や滋賀で繰り返し設定されたが、犯人グループは姿を現さなかった。捜査本部は、丸大食品とハウス食品の二つの脅迫事件に現れた「キツネ目の男」の似顔絵を公開。青酸入りドロップが置かれた西宮市内のコンビニで不審な動きをする「ビデオの男」の防犯カメラ映像を公開して情報を募った。
捜査本部には、不審車両や遺留物など、幾つかの「物証」に特化した捜査班が編成された。その一つが、脅迫状だった。
■タイプライター
日本タイプライター社製の「パンライター」-。
捜査本部は、犯人グループが送りつけてきた脅迫状を分析。文字盤と組み合わせて印字するタイプライターが使われており、メーカーと製品も特定された。
日本タイプライターから提出を受けた納品リストによれば、その数は数千台。警察庁と連携し、各都道府県警の捜査員が1台ずつ販路を確認する地道な作業が続いた。
兵庫県警西宮署の捜査拠点には、その報告が全国から集まってきたという。タイプライターの写真と、文字を打ち出した紙、所有者の聞き取り内容…。最終的に、捜査本部は7割以上の所有者を特定したとされるが、犯人グループにはたどり着かなかった。
ただ、その後の捜査につながる重要な成果もあったとされる。
集約したタイプライターの報告は、兵庫県警の情報管理部門と共有し、コンピューターでリスト化した。犯人グループに直結する物証だっただけに、ささいなヒントでも漏らさず関連を検索できるようにするためのアイデアだったという。
ある捜査幹部が、強調する。
「それまでの事件の捜査では、人の記憶と書類の手繰りでしか情報を突き合わせられなかった。グリコ・森永事件のタイプライターの追跡は、現在のIT化にまでつながる大きな転換になった」
以下ソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c47e8433e942545cfb7236671a9c1cfdf67da6a