2/26(月) 15:26配信
ヘイト規制の重要性について話す石橋学さん=23日、埼玉県さいたま市浦和区
埼玉県さいたま市浦和区のコムナーレで23日、埼玉朝鮮学校への補助金再開などを求め活動する市民団体が集会を開き、神奈川新聞記者の石橋学さんが「官民ヘイトと向き合って」と題し講演した。市民ら約100人が参加した。
川崎市ではヘイトスピーチに刑事罰である罰金を科す条例が2020年に施行された。石橋さんは「被害者の立場に立ってネット上のヘイトスピーチに削除要請が出されるようになり、市民の粘り強い活動の効果もありヘイトデモの規模が小さくなった」と効果を挙げる一方、「条例により存分にヘイトができなくなり、川口市や蕨市に来ている」と指摘した。
今月18日には蕨市で取材し、川崎市で活動していた人物らがクルド人を名指しし「日本から出ていけ」と主張していたと確認。騒ぎを遠巻きに見て「(ヘイトだとしても)どっちもどっち」と言う現地住民に「日本で最も犯罪を起こすのは日本人男性だが、全員出ていけと言うのはおかしい」と説明したと振り返った。「行政が条例を作り『ヘイトは許されない』と発信することが最大の啓発となる。ヘイトデモの参加者は『埼玉で受け入れられる』という手応えを得ており、以前以上の危険性を感じる」と話した。
21年には京都府の在日コリアンが住む地域で、「不法占拠されている」というネット上のデマを信じた犯人による放火事件が発生。「ヘイトを野放しにしていると暴力につながる。たった10人のヘイトデモであっても危険があり、十分に罰則付き条例の立法事実になる」と強調した。
川崎市での条例制定時には、在日朝鮮人住民が「差別を受け続けてきたが、初めて守られる存在、川崎市民になれた気がします」と喜んだという。石橋さんは「日本にマイノリティー(少数派)が住んでいない地域はない。ヘイトスピーチ解消法が理念法であり、国が動かない以上、自治体が網を広げることが重要」と話した。