――1990年に戦前日本の公娼制度の研究を始めました
「法律が専門なので、面白い契約に関して書こうと思っていました。公娼の場合は、警察に届け出るので、
戦前の東京では警察の整ったデータがありました」
――2020年の論文で、慰安婦は売春を強いられた「性奴隷」ではなく、
あくまで日本国内の公娼制度の延長線上にあることを示しています
「日本社会の書類を集めていると、慰安婦の書類も出て来る。時間をかけて読み進めると、慰安婦の契約も、
30年前の公娼制度の契約に関する分析がそのまま当てはまる。面白いと思って、8ページ程度のすごく短い論文を書きました」
――延長線上とはいえ、東京の公娼よりも慰安婦の方が「待遇が良い」という違いもあります
「東京の公娼は6年契約なのに、慰安婦の方は2年契約と期間が短い上、やや金額も高かったのです。
東京にいる公娼は割と安全ですが、海外の慰安所は、近くで戦闘が行われていたり、ジャングルの奥地だったりと危険が伴います。
慰安所を運営する側もリスクの中でしっかり働いてもらう必要があるため、互いに納得できる契約をとる必要があったのでしょう」
――「慰安婦=性奴隷」説は1996年に国連の特別報告者、クマラスワミ氏の報告書で世界的に広がりました
「朝鮮半島で女性を強制連行したと偽証した吉田清治氏の証言がもとになっているようですが、バカな話だと思いました。
米国の学者が日本に関して、粗雑な発信をするのは普段からよくある話ですが、日本の歴史や、文学を専門とする研究者までも
『慰安婦=性奴隷』と話をするようになった。『これでも日本研究者といえるのか』と疑問を抱きました」
――論文公表後には、同僚を含む米国や、韓国などの研究者らから強い非難を浴び、論文撤回の署名運動も起きました
「びっくりしましたね。朝鮮半島をまったく知らない人が『ラムザイヤーが慰安婦について大変なことを書いた』ということで
サインする。『ラムザイヤーを批判しないと自分が批判される』ことを恐れる臆病だとしか考えられません」
――日本では支持する声も少なくありませんでした。当初から世間に発信しようという思いはあったのですか
「発信しようと思っていたのですが、僕の論文は誰も読みません(笑)。皮肉なことに日本の知人から、批判がなかったならば、
数少ない専門家と、あなたのお母さんが読むだけのものだったといわれました」
――研究者として思うところもありますか
「研究者として自分が研究したいことをして、結論が出たら謝らずに公表する。
学者として何も悪いことをしていないのなら絶対謝らない姿勢を前もって決めることです。
正しいことしか言わないのは、学問というよりも人間の基本です。今後も戦い続けます」
――朴槿恵(パク・クネ)政権当時の2016年、前年の日韓合意に基づき、日本政府が拠出した10億円を財源に
元慰安婦や遺族に対する現金支給などの事業を行う「和解・癒やし財団」を設立。
それが、文在寅(ムン・ジェイン)政権下で突如解散されました
「政府が15年の合意で『おしまい』といったが政権交代があって解散した形です。あれをみてあきれました。
どうすれば韓国と交渉ができるのだろうかと思いましたね」
――日本は韓国にどう向き合うべきですか
「米国の研究者はすぐ日本に『ああしろ、こうしろ』といいがちで、最近は駐日大使までも注文をつけているようで、
口に出したくない気持ちもありますね。日米韓も仲良くすべきだとは思いますが、
韓国に対しては交渉をする上でも歴史は歴史として、性奴隷ではなかった、とはっきりいうべきです」
・『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』
ー後略ー
■J・マーク・ラムザイヤー(John Mark Ramseyer)