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【平和の祭典】イスタンブール、2036年夏季オリンピック招致へ
2020年5月30日、トルコ・イスタンブールのアタチュルク・オリンピックスタジアムの空からの眺め。(AP画像)
イスタンブール、2036年夏季オリンピック招致へ
https://www.arabnews.jp/article/japan/article_44949/
・実現すればトルコはイスラム教徒が多数派を占める国として初の五輪開催国となる
・五輪は莫大なソフトパワーの機会をもたらすと、スポーツ弁護士のメネクセ・トクヤイ(Menekse Tokyay)氏はアラブニュースに語る
イスタンブール:イスタンブールは2036年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地として名乗りを上げた。
承認されれば、トルコはイスラム教徒が多数派を占める国として初の五輪開催国となる。
「イスタンブールが世界のスポーツ地図でしかるべき地位に就けるよう、我々はこの大きな目的に全力で取り組みます」と、同市市長で元アマチュアサッカー選手のエクレム・イマムオール氏は火曜の記者会見で述べた。
「我々は我々の意志を掲げ、イスタンブールおよびトルコの人々を代表し、イスタンブールでオリンピック・パラリンピックを開催することを希望します」
その日、イマムオール市長はイスタンブールの新しいスポーツのビジョンと未来の計画を発表し、トルコのすべての関連機関に対して市と力を合わせるよう呼び掛けた。市長は「実現させましょう!」とツイートした。
市長は現在、イスタンブール市の交通とスポーツのインフラ改善に注目しており、民間セクターおよびフェネルバフチェ、ガラタサライ、ベシクタシュ等のスポーツクラブに協力を呼び掛けた。
イスタンブールはロンドンやインドのアフマダーバード等、同じく招致を希望するその他ヨーロッパや中東、南米の各都市と競合する。
今年7月23日~8月8日まで開催される2020年東京オリンピックには、18種目にわたり100人以上のトルコ人選手が出場する。
またトルコ代表として女子選手50人が参加し、2012年ロンドン大会以来最多となる。
1650万人の人口を抱えるイスタンブール市は8つのスタジアムに加え、フィットネスサロン42カ所、テニスコート44面、サッカー場41面、陸上競技場1カ所、アイススケートリンク2面を含む52カ所のスポーツ施設を擁する。これらの施設では子どもたちに15種目の競技トレーニングも行っている。
5月21日~6月4日の間、28カ国で19,000人を対象に実施されたイプソス・グローバルアドバイザー調査によると、トルコの回答者はパンデミック下であっても東京大会の開催実行は正しいと答えた率が71パーセントと最も高い支持率を示した。
「オリンピックの開催国には、パラリンピックを開催する能力の向上も求められます。そのため、これらのイベントを開催するホスト都市にはアクセシブルなインフラが必要となります」と、スポーツ法を専門とする弁護士メルト・ヤサル氏はアラブニュースに語った。
約5百万人の障がい者を擁するトルコには、地下鉄の駅で支障なく運転するエレベーター・エスカレーター設置数の増加、世界基準に準拠する車いす用スロープの設置、すべての会場を車いすアクセス可能にすること、そして案内板・標識の増設等の障がい者アクセスの改善が求められる。
「イスタンブールに住む障がい者は現在、まだ完全に障がい者対応となっていない公共交通の利用時にも問題に直面しています。オリンピック開催の最大のメリットは、イスタンブールに障がい者用の近代的でサステイナブルなインフラを導入できること、また障がい者への全国の関心と理解の醸成を図れることです」とヤサル氏は語った。
アクセシブルな環境と水準を確保することは、国際オリンピック委員会(IOC)との間で締結される開催都市契約の一部となっている。
ヤサル氏は、オリンピックの開催費用は2008年北京大会の450億ドルのように莫大な額になりうると警告した。
これほどに財政負担が大きいことで、大会開催への熱意が削がれるかもしれない。しかしヤサル氏によると、オリンピックの開催はソフトパワーを前面に打ち出す機会となり、文化面をアピールして注目を獲得できるため、各都市は開催に積極的なのだ。
「しかし、もしイスタンブールが本気で招致を希望するなら、ポップカルチャーを推進するような社会的活動を行うべきでしょう。人々はオリンピック開催自体は支持していますが、同時にチケット購入や参加についても前向きであるべきです。さもなければオリンピックはコロナ禍における日本のケースのように、都市経済に甚大な財政負担をもたらすおそれがあります」