昨年、12月に筆者の長男は韓国で兵役のため入隊をした。
入隊からの1ヵ月間は韓国中部の論山(ノンサン)という陸軍最大の訓練所で身体、適正検査及び実践訓練を行い、
最終的な配属先が決定される。
長男も1月下旬、無事に訓練を修了し、しばしの面会を経て新たな配属先へと旅立って行った。
そしてこれから2025年6月の除隊まで兵役任務に就くことになる。
BTSのメンバーが現在、全員兵役任務に就いていることで日本でも韓国の兵役に注目と関心が集まっていることや、
最近では兵役中の給与のアップを初め大幅な待遇の改善がされていることで兵役のイメージも変わりつつあるが、
やはり、自分の子どもを実際に兵役に送ることで知ることも多い。
まず感じたのは、思っていた以上に家族や友人などとの連絡が取りやすい環境にあるということである。
訓練期間中は週末の1時間という制限がありながらも、携帯の使用が許可されていて、
さらに部隊に配属後は平日は夜間の2~3時間程度の自由時間内で週末も同様に使用ができるようになっている。
兵役中の携帯使用については2019年に認められるようになり、配属先の部隊や任務によっては制限が厳しいところもあるものの、
基本的に外部との連絡が取りやすくなったのは言うまでもない。
・「上官」からの電話
しかし、当然のことながら、軍の機密にも関わることから携帯使用中でも部隊内で写真を個人的に撮影すること、
SNSへの投稿等は禁じられている。
今回、何より驚かされたのは、訓練終了後に移動した配属先の上官から直接電話がかかってきたことであった。
配属にあたっての挨拶であったのだが、さらに後日、上官の顔写真入の挨拶と連絡先などが記された文書が改めて自宅に届いた。
そして、以前、「部隊の食事が貧相過ぎる」と兵士の訴えが明るみとなり問題視されたことから、
訓練所の食事についてもホームページで献立が発表されている上、「洋食」や「日本食」の日まであることにこれまた驚かされた。
近年、人気を集めた兵役を題材にしたドラマでも、部隊内でのいじめや自殺、パワハラといった「負」の側面を
描いているものが多く、実際に過去に部隊で起こった事件や、原作者の実体験をモチーフにしているということからも、
かつての部隊ではこうした問題が頻発していたことを伺わせる。
軍部がここまで透明性や待遇の手厚さをアピールする背景には、
過去に軍内部で起こった様々な問題や不祥事による国民の不信感とネガティブなイメージを脱却する狙いも大きいのだろう。