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【朝鮮日報】景福宮の水洗式トイレ 1894年 イザベラ・バード・ビショップ「漢陽は世界で北京に次いで汚い都市」
水洗式トイレの歴史は、スコットランドで1万年前の遺跡が発見されるほどに長い。韓国も雁鴨池付近で、8世紀の統一新羅の、排せつ物を水で押し流す水洗式トレイが出土した。フランス南部の都市ビエンヌには、ローマ帝国時代、冬場に臀部(でんぶ)が冷えないように暖房装置まで備えた水洗式トイレもあった。だが、水洗式は水因性疾病のまん延を防ぐことはできず、むしろ悪化させた。1860年代、英国ではコレラにより数万人が命を落とした。調査の結果、排せつ物を浄化する過程がないままテムズ川に流していたことが原因と判明した。欧州の公衆衛生は、トイレの衛生改善の歴史だ。
景福宮で150年前に作られ、土に埋もれていた公衆トイレの遺跡が8日に公開された。水洗式である上に浄化施設まで備えていた。水の入り口よりも出口の方が高く、しばらく滞留させる方式で排せつ物の自然発酵を促進するという科学的構造だ。しかし、これは宮殿内部でのみ享受できる恩恵だった。1894年に朝鮮の地を踏んだ英国人イザベラ・バード・ビショップは「漢陽は世界で北京に次いで汚い都市」と記した。人々は通りに排せつ物をそのまま捨てていた。
「トイレが不潔な国」だった韓国は、1988年のソウル・オリンピックとワールドカップを契機に、トイレ先進国へと飛躍した。オリンピックを前に、旧来のトイレを水洗式へと大挙更新した。ハードウエアの改善に続き、2002年のワールドカップの際には「トイレを清潔に使う」というソフトウエアの跳躍も実現した。1999年から毎年「美しいトイレ」公募展など、さまざまなキャンペーンを繰り広げて努力したおかげでもある。外国人は今や、韓国のトイレを見て感嘆する。スマートフォンで内部を撮っていくほどだ。
昨年「美しいトイレ」大賞を授与された、水原・華城行宮に近い「美術館横のトイレ」は、所持品を置く棚、防水コンセント、動作感知センサーとLEFD(発光ダイオード)照明、女性のための授乳室や乳幼児用ベッドまで備えた施設だ。市民の利用態度も先進国レベルだ。今も世界の人口の4割は、きちんとしたトイレがないまま疾病にさらされて生きている。20世紀の中盤までは、韓国もそんな国だった。「漢江の奇跡」がトイレでも起きたわけだ。
金泰勲(キム・テフン)論説委員
朝鮮日報 記事入力 : 2021/07/14 13:56
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