株式会社札幌ドームは命名権(ネーミングライツ)を販売するとして公募を行っていたが、応募締め切り日である今月29日を目前に控え、現時点(26日現在)で応募がないことがわかった。札幌市の秋元克広市長が26日の記者会見で明らかにした。
プロ野球・北海道日本ハムファイターズが昨年度シーズンから本拠地をエスコンフィールドHOKKAIDO(北海道)に移したことで、2024年3月期の純損益が2億9400万円の赤字予想からさらに膨らむ見通しとなるなど苦境に陥っている札幌ドーム。
浮上策として打ち出した命名権販売だったが、その条件が「強気」だとの声も出ていたなか、計画に暗雲が立ち込めている。
札幌ドームの経営は厳しい。日ハムが本拠地を移したことで年間20億円以上とみられる売上を失い、24年3月期は大幅な赤字決算となる予定。
そんななか、集客の要として総額10億円を投入して設置したのが、1~2万人規模のイベントを開催する「新モード」だが、使用・予約件数は少なく、市民からは「事実上の税金の無駄使い」との声もあがっている。
すでに市は本年度予算で札幌ドームへの助成金として1億4000万円を計上するなど事実上の補填(ほてん)を決定しているが、札幌市が55%の株式を持つ第三セクターである札幌ドームの経営が行き詰まれば、さらに税金が投入される可能性もあるため、「ドーム解体」論も聞かれる事態となっている。