2月27日に韓国統計庁が発表した「2023年出生・死亡統計」によると、昨年の合計特殊出生率は暫定値で0.72人と集計され、過去最低を記録した。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均合計出生率が1.58人(2021年)と出たなか、韓国は唯一の“0人台”という不名誉な記録を叩きだしている。地域別の値も軒並み1を下回っており、人口の約2割が集中している首都・ソウルは0.55で最低値だった。
背景には、経済的負担で子どもを持たない選択を取る夫婦が増加したことも挙げられる。その一方で、韓国では“異性嫌悪”が叫ばれて久しいことから、男女間の対立も原因の一つではないかと思われる。
特に、2010年代に入ってからはネット上で“女性嫌悪”の声が増加。2019年にソウル特別市の女性家族財団が、ソウル市民3000人を対象に調査した結果、10.7%の322人がネット上で女性嫌悪表現を使ったことがあると回答した。また、13.4%の402人は現実で女性嫌悪表現を使ったことがあるという結果が出た。また韓国ならではの“兵役”に関しても、男性だけが履行するのは不平等だという声も少なくない。
一方、女性側は“非婚化宣言”する者が増加している。グローバルビッグデータ研究所が3年間(2018年7月1日~2021年6月30日)にわたって収集した非婚化関連のネット投稿数は、2018年7月から翌年6月まで13万793件だったものが、2019年7月から翌年6月は15万9649件に増加していたことが判明したのだ。
儒教の影響から男尊女卑の思想が根付いている韓国だが、近年ではそうした思想も薄れはじめ、自立を掲げる女性も少なくない。
韓国では既婚者と未婚者の出生率に大きな差があることから、婚姻率低下が出生率の低下に繋がっていることは否定できないだろう。
毎年のように出生児数が減り続ける韓国に対して、イギリスのオックスフォード人口問題研究所は過去、「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」と指摘したことがあるのだが、現実的な問題として受け止めなければならない状況なのだ。
男女間の対立は一朝一夕で解決できる問題ではないが、早急に手を打たなければならない。国がなくなってしまっては、元も子もないないのだから。