ファミリー向き家賃は約3万円上昇
ライフルの運営する不動産情報サイト「ライフルホームズ」に掲載した居住用賃貸マンション・アパートのうち、シングル向きは間取りがワンルームから2K、ファミリー向きは2DK以上の賃料を集計した。
東京23区内のシングルとファミリー向き物件の平均賃料推移=ライフル提供
2023年12月時点で、東京23区のシングル向き賃貸物件の平均賃料は、月9万4694円と前年同月比5・6%上昇。ファミリー向きは19万2662円で16・6%増、金額にすると2万7379万円増と大幅に上昇した。
賃料上昇の背景には、購入物件の販売価格の上昇があるようだ。
23区内の新築マンションの平均価格は23年11月に1億円を突破。中古物件でも都心部を中心に価格上昇が続いており、23年12月のファミリー向き中古マンションの価格は都心6区(千代田、港、中央、渋谷、新宿、文京)で平均9148万円と13・3%上昇した。
一方で、新築物件の供給は減少傾向にあり、購入物件を新築から中古に切り替えたり、円安を背景に海外からの購入が活発になったりしていることが、中古物件の価格を押し上げているという。
こうした購入物件高騰の影響が賃貸物件に及んでおり、ライフルは「賃貸物件の需要の高まりや物価高により賃料を値上げするケースが増えた」と説明している。
家賃の値上げを通告された時は
では、賃貸物件を借りている人が大家さんから家賃の値上げを通告された場合、どうすればいいのだろうか。
ライフルは、そんな時の対処法についても解説している。
「借地借家法」によると、賃貸契約中でも正当な理由があれば貸主の判断で賃料の値上げが可能だ。その例として、土地・建物に対する税金が増加▽物価高など経済事情の変動▽周辺の類似物件と比べて明らかに家賃が安い――などが挙げられる。一般的には契約更新のタイミングで賃料増額を通告されることが多いという。
ただ、賃料は貸主と借り主の合意があって成立するため、「通告を受けたら借り主は必ず従わなくてはいけないということではない」としつつ、「貸主にも相応の理由があるはず。値上げの根拠などをよく確認し、落ち着いて冷静に交渉に臨んでほしい」と助言している。【嶋田夕子】