給油所(ガソリンスタンド)が減っている。中でも、電車などの公共交通が発達している東京都は、全国的にも減少が目立つ。経済産業省の調査によると、都内の給油所数は2023年3月末時点で912カ所と、20年前の2114カ所の半数以下まで減少した。
◆人口減少と燃費向上で需要が減少
人口減少や自動車の燃費向上を背景に、国内のガソリン需要は2000年代をピークに減少。原油価格の急上昇や電気自動車(EV)など次世代自動車の増加なども追い打ちをかける。給油所は競争が激化し、多くが薄利多売の厳しい経営を迫られている。
効率的に運営できるセルフ方式の給油所は増えている。一方、ガソリンをためる給油所の地下タンクの耐用年数がおおむね40年であることから、地下タンクの改修を前に廃業するケースが目立つ。
全国的にも給油所数は1995年3月末に6万421カ所となって以降、減少の一途をたどっている。20年前の03年3月末と比べても、23年3月末は全国で2万7963カ所と4割以上減少した。
石油連盟の広報担当者は「震災などの災害時、給油所はエネルギー供給の『最後のとりで』となる。自治体が地域のインフラとして考えていくかどうかが今後の給油所の在り方に影響する」と話す。
EVへの移行に向け、公共用EV用充電設備は増えている。都によると、都内での設置数は23年3月末時点で2869口。このうち充電に要する時間が短い急速充電設備は493口と2年前の調査に比べて150口以上増えたといい、都の担当者は「30年までに急速充電器1000口が目標」としている。 (砂本紅年)