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【韓国ワクチン狂騒曲】 受験生には優先接種で成人が模試に殺到 「40代で申し込んだ。受験せずとも接種してもらえますよね?」
頼みの綱のワクチンはいまだ品不足が続いている状況で、このままだと文在寅(ムン・ジェイン)政権の功績の筆頭に挙げられる「K防疫」も、一転して国民的な非難に晒さることになりそうだ。
ワクチンのあまりの不足ぶりに、いま韓国ではさまざまなハプニングが起こっている。
その一つが、9月に行われる大学入学模試を巡る醜悪な争いだ。
韓国では大学受験の成否がその後の人生を大きく左右する。そのため、韓国社会は受験生に対しては特別な配慮をすることで知られている。
今回のコロナ禍においても韓国の防疫当局は、大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)の受験生にファイザー製ワクチンを優先的に接種するという配慮をみせた。
さらに受験生が既卒者の場合には、9月に実施される大学入試模験を申し込んだ者を受験生と見なすとした。
これが騒動の発端となった。
これによって、コロナワクチンを優先接種してもらおうと、受験生でない者までもが9月模試の申請に殺到したのだ。
模試の受付は早期終了され、本当に試験を受けなければならない受験生の多数が模試を受けられなくなる事態が発生した。
模試の申し込み開始の翌日となる6月29日、受験生が利用するインターネットコミュニティは大騒ぎとなった。
「9月模試を申請しようと今日の朝6時から塾の前に並びましたが、結局できず帰ってきました。
電話での申し込みも1~2分の間に締め切られて失敗したのに、塾の受付まで失敗してしまい、悔しくて泣いています」
「9月模試を受け付けるために母親と一緒に来ていた子がいたが、その母親もコロナワクチン接種目的で9月模試を受け付けると聞いて鳥肌が立った。
ワクチン接種のため、本当に切迫している浪人生たちの機会を奪うなんて図々しすぎる」
「瑞草(ソチョ)洞のある大型総合塾の受付が7時に締め切られた。もともと10時から始まる予定だったが、先着順を待機する者がいっぱいで待てなくなったとか」
「ソウル大に通っている私の家庭教師は、25歳なんだけど、ファイザー製ワクチンを接種するため9月模試を申請したんだって」
ネイバーの質問掲示板には、40代の人物がこんな書き込みをした。
「40代ですが、ワクチンを接種するために9月模試を申し込みました。受験料は払いましたが、当日は出席しなくても、接種してもらえるんですよね?」
当然ながら、この書き込みには批判が殺到した。
韓国メディアが引用した有名進学塾「鍾路学院」の統計によると、同塾の9月模試の受付者の約50%が25歳以上で、昨年と比べ2倍以上増えたという。メディアは、「9月模試を受ける人々を全員大学受験者と見なし、8月からファイザー接種を推進する」といった政府の方針が問題を触発したと指摘している。
6月28日、韓国教育部が記者ブリーフィングで、「30~40代が9月の模擬試験を受けてもAZ(アストラゼネカ)の代わりにファイザー製ワクチンを受けることにした」と説明してから、模擬試験への申し込みが殺到したという。
韓国では、感染予防効果が最も高いとされるファイザー製ワクチンは物量不足で、75歳以上の老人層や医療従事者など社会の核心人材にだけ接種されている。
一方、韓国で最も多く確保されているアストラゼネカ製ワクチンは75歳以下の年齢層に接種されているが、よく知られているように若いほど血栓症などの副反応が発生する可能性が高い。
このほかにも韓国では、ワクチン接種の機会をなんとか確保するために、あの手この手を駆使する人々が絶えない。
ワクチン接種の予約のために自動操作プログラム「マクロプログラム」を使う人も登場した。実際にマクロを使って予約に成功したという書き込みも掲載された。
結局、ネイバー側がマクロ遮断に乗り出したが、7月6日から始まったファイザーの残余ワクチンの接種予約は、開始からおよそ0.5%秒で終了するなど、普通の人は全く手に届かない存在となっている。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65993