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タリバン「2時間で退去せよ」 住民脅迫、焼き打ち―アフガン北部
アフガニスタン治安部隊と反政府勢力タリバンの戦闘で家を追われ、校舎に避難した子供たち=6月26日、北部クンドゥズ(AFP時事)
【ワシントンAFP時事】アフガニスタン北部で攻勢を強め、次々と支配地域を拡大させている反政府勢力タリバン。実際に侵攻を受けた町の住民の証言では、住居を焼き打ちされたり、略奪されたりして、生きるために逃げざるを得ない現実が浮かび上がった。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が7日公表した北部クンドゥズ州の町の調査報告書によれば、先週1週間で家を追われたのは約600世帯に及んだ。タリバンは6月下旬に町に進撃。拡声器を使用し「住民の安全のため」として2時間の猶予を与えると宣言。その後、焼き打ちに及んだとみられるケースもあった。
アフガン政府を支持する家庭に対する脅迫も後を絶たない。夫を亡くした45歳の女性はHRWに対し、タリバンは「私たちが『不信心者』(政府)を支援していたとして家を出るよう通告した。村には20年も住んでいたのに…。今は別の町でテント暮らしだ」と苦境を訴えた。
HRWの幹部パトリシア・ゴスマン氏は「政府寄りの民間人へのタリバンの報復的な攻撃は、将来の残虐行為を予想させる不吉な警告と考えられる」と指摘。「タリバン指導部は現地の戦闘員の行動をやめさせる力を有しているが、そうしようとはしていない」と批判した。
アフガン駐留米軍の撤収を目前に、タリバンは北部の各地区を段階的に制圧してきた。外国軍の後ろ盾を失いつつあるガニ政権は追い詰められている。
時事通信 2021年07月10日07時13分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070900791