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負ければブームが終わる…その後に待っているのは『無関心』 女子バスケ・馬瓜エブリンの危機感、使命感を込めた言葉
3大会連続6度目の五輪出場を決めたバスケットボール女子日本代表の帰国会見は、馬瓜エブリン(28)=デンソー=を中心に息の合った“爆笑会見”となった。笑いあり、涙ありで盛り上がったが、危機感、使命感を込めた言葉も強く耳に残っている。
「この(バスケ)人気はリオデジャネイロ五輪から始まって、東京五輪、男子のW杯予選と続いてきた。その中で、私たちがパリ五輪にいけないということは起きてはならない。バスケで頑張っていきたい子どもたちのためにもつなげないといけない。つながりを途切れさせてはいけない。カナダに勝たないといけないと思った」
女子は2016年リオ五輪で3大会ぶりに出場し、ベスト8、東京五輪では史上初の銀に輝いた。男子は昨夏のW杯で48年ぶりとなる自力での五輪切符を獲得、機は熟し、沸騰した。1年間の「夏休み」中だったエブリンはリポーターとして男子の快進撃を目撃した。パリ五輪最終予選第2戦のハンガリー戦で敗れ、崖っぷちに立たされた後、こう思ったという。
「生きた心地がしなかった」
会見では冗談めかして言ったが、本音だと思う。もし、途切れたら…。批判の後に待っているのは無関心だ。休養中にはテレビやユーチューブ番組にも出演して視野を広げた。注目されない恐怖、危機感は人一倍感じていたからこそ出た言葉だと思う。元サッカー日本代表主将の長谷部誠が激闘の記憶を残した18年ロシアW杯で「無関心が一番怖かった」と吐露した姿と重なった。
帰国会見の最後はエブリンのかけ声で全員の「パリに行くぞ!」で締めたかに思えたが…。ハンガリー戦後に落ち込むエブリンに「おまえのほえが足りない」と鼓舞した宮崎早織(28)=ENEOS=が「みんな、ちゃんと声出しました?」と呼びかける。次の瞬間。「恩塚さん!」と恩塚亨監督に突っ込み、司令塔による絶妙な“アシスト”で笑い声がはじけた。コート内外で息の合ったプレーを見せたチームが「つないだ」パリ切符の会見は、ほほ笑ましかった。(一般スポーツ担当・占部哲也)