いまから36年前の1988年(昭和63年)2月10日は、ファミリーコンピュータ用ソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が発売された日。
国内で380万本という記録的な売上を達成し、多くのゲーム作品やポップカルチャーに影響を与えた『ドラゴンクエストIII』。筆者が遊んだ初めてのRPGも本作でした。遊んでいなければゲームライターにはなっていなかったでしょうし、この記事も書いていなかったでしょう。ありがとう、堀井雄二さん!
堀井雄二さんと言えば『ドラゴンクエスト』のイメージが強いですが、ゲームデザイナーとしてのデビュー作は『ラブマッチテニス』という作品。
堀井さんはゲーム・ホビープログラムコンテストに『ラブマッチテニス』を出品し、ゲームの世界に足を踏み入れることになります。その後、視察のために訪れたApple Festで『ウィザードリィ』と出会い、どっぷりとハマったことを機にRPGへの熱が高まったのだとか。
小国アリアハンの勇敢なる戦士オルテガの息子である主人公が、16歳の誕生日に王様からオルテガの遺志を継いで魔王バラモスを倒すように命じられ、冒険へと旅立つというのが本作の物語。
スーパーファミコン版で新たに追加されたオルテガが勇ましく戦うオープニングは、もともと海外版の『III』に追加されたシーンがモチーフになったもの。
海外版についてもう少し語ると……ファミコン版に登場するオルテガのビジュアルは、盗賊カンダタと同じでした。しかし、海外版では専用グラフィックに。スーパーファミコン版も同様に専用グラフィックが導入され、「グラフィックが変わった!」と思った方も多いかもしれません。
物語の展開で驚くのは、旅の目的であるバラモスを討伐した後も物語が続くことがわかったとき。いまでこそ『III』では黒幕が別にいることは有名であるものの、当時プレイしていた人は驚いたことでしょう。筆者は驚いたことよりも「まだこのゲームが遊べるの!?」という喜びのほうが大きかったです。『III』がおもしろいのはもちろん、子どものころは1本1本のゲームが貴重でしたからね(笑)。
本作はひとり旅である『I』や仲間が決まっている『II』とは異なり、仲間の職業はもちろん名前まで自由に選ぶことができるのが特徴。
筆者としては勇者、戦士、僧侶、魔法使いのパーティがいちばんポピュラーだと思っていましたが、最近になって初めて本作をプレイした友人が「かわいいから」という理由で勇者、商人、遊び人、僧侶という編成だったので、人によって個性が出るものだなと興味深かったです。
ちなみに、仲間を加えずに勇者ひとりでクリアーすることも可能。勇者以外のひとり旅もできますが、勇者をパーティーから外すことはできないので、ほかの職業で挑戦する場合は勇者をわざと死なせて棺桶を引きずりながら擬似的なひとり旅でプレイすることになります。魔法使いでクリアーを目指す人などもいるので、すごいのひと言に尽きます。
昨今はガイドラインに従うことで動画や生配信の投稿ができるようになったので、いろいろな人がプレイしている様子を気軽に見ることができます。
人のプレイを見ていると、自分とは違う進めかたばかりで驚きますね。たとえば、筆者だったらロマリアへはレベル10くらいまで上げてから向かうところを、レベル7だったり、なかにはレベル5で行く猛者もいて、勇気があるなと感心します。
なお、前作は後半からゲームバランスがシビアになりクリアーするのもたいへんでしたが、本作ではバランスが大きく調整されています。幼いころの自分でもクリアーできたので、最初に遊んだRPGにして最初にクリアーしたRPGになりました。この初心者にもやさしく誰でもプレイできるところが「ドラゴンクエスト」シリーズの魅力かと思います。
夜になるとぱふぱふしてくれるアッサラームや和風な雰囲気が特徴のジパング、危険な罠が待ち受けるピラミッド、ガイコツや人魂のうろつく幽霊船など、多彩な町やダンジョンがあり、壮大な冒険が楽しめる『III』。