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名古屋市教育委員会に「上納金」の慣行 約80の教員団体から現金を受け取る…校長候補「名簿」添えて
名古屋市教育委員会事務局が市内全16区の校長会など80以上の教員の団体から毎年、1団体ごとに3万円前後の現金などを受け取っていたことが関係者への取材で分かった。各団体は次年度の市立小中学校の校長に推薦する教員の名簿とともに金品を納めていた。事務局幹部は取材に「激励と受け止めている。金品が人事に反映されることはない」と話したが、事態を把握した市は「団体側から市教委への上納金」と判断、不適切な金品の授受にあたるとして調査する方針だ。
◆10年以上続く慣習、教職員課が受け取り帳簿も
複数の関係者によると、この慣習は少なくとも10年以上、続いている。各団体が校長に推薦する教員の名簿とともに納める金品は、市教委事務局で教員の人事を担当する教職員課が受け取っており、帳簿も作成していた。市幹部は「校長人事が金で動いていると疑われかねない、あしき慣習だ」と話している。
市内には、教員の任意団体が市立小中学校の校長で構成する各区の校長会のほか、出身大学・高校・部活動の同窓団体、担当教科の研究会など80以上ある。複数の団体に加入している教員もいるという。
これらの団体が毎年夏ごろ、次年度の市立小中学校の校長人事を見据え、校長に推薦する数人の教員の名簿を教職員課に提出。その際に現金や商品券を納めていた。同課の課長は歴代、教員出身者が務めている。
受け取った金品の使途について、校長経験者の市教委事務局幹部は取材に「夏の教員採用、年度末の定期異動の作業繁忙期に職員が深夜勤務する際の飲食費や、会合で市議、教職員課OBらを招いたり、現場の教員から意見を聴いたりする会合の車代に使っている」と説明した。
◆「市教委は激務、われわれ勤務者に激励。人事に反映ない」
その上で「教員が学校から市教委に移ると激務になる。学校現場の教員たちが、われわれ市教委勤務者に激励として金品を贈っていると認識している」と強調し「校長人事に反映されることはない」と話した。各団体が校長に推薦する教員の名簿を提出していることについては「学校現場の現状を市教委事務局が把握するための資料」と述べた。
名古屋市立小学校は261校、市立中学校は110校(いずれも分校は除く)。例年、春の教職員異動で60~70人程度が新たに小中学校長に就任している。
◆あきれる慣習、金品伴うのは聞いた事がない
元文部科学省官僚の寺脇研・京都芸術大教授(教育行政)の話 令和になって、このような慣習が続いていることにあきれるし、金品が伴うというのは聞いたことがない。外部から「校長人事で特別な配慮がされた」と疑われても仕方がない。明らかにいきすぎだ。教育現場には戦前の師範学校の名残で、昭和の終わりくらいまで学閥が存在していたが、名古屋ではまだ残っているのか。名古屋市と市教委は早急にうみを出し切らなければならない。
東京新聞 2024年2月11日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/308679