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高かった公務員人気に陰りが見えてきた。総務省は2022年の地方公務員の受験者数が43万8651人にとどまり、58万3541人だった10年前の2013年と比べて24.8%減ったことを公表した。人数にすると約14万5000人少なくなったということである。
国家公務員についても採用試験の申込者数の落ち込みは顕著だ。人事院によれば2022年の総合職試験は1万8295人にとどまり、2011年の2万7567人と比べて33.6%減だ。
なぜ公務員離れが鮮明になってきたのか。要因は複雑だ。国家公務員と地方公務員とでは異なる部分もある。まずは国家公務員から見て行こう。
東大生の「キャリア官僚離れ」が進んだ理由
人事院によれば、国家公務員採用試験申込者数の落ち込みは総合職だけではない。2011年と2022年を比較すると一般職試験(大卒程度試験)は39.5%減、一般職試験(高卒者試験)は43.1%減だ。
このうち総合職に関してはもう1つ大きな変化が見られる。東京大学の合格者が激減しているのである。
国家の政策の企画立案などに携わる総合職と言えば、「キャリア官僚」と呼ばれる各省庁の幹部候補であり、東京大学出身者が例年トップを占めてきた。2023年の春試験においても大学別では東大の193人が最多だったが、前年度と比べて24人減った。現行の総合職試験制度となってから最少だ。東大からの合格者が200人を下回ったのは初で、10年前と比べると半減である。
東大生の「キャリア官僚離れ」が進んだ理由はいくつもあるが、長時間労働の常態化が主要因の1つと見られている。若い世代は働き方に対する関心が高まっており、ブラック職場に対して「受け入れ難い」と感じる人が少なくない。国会議員からの事前の質問通告が遅く、国会答弁作成終了時間が夜中に及ぶといった官僚の過酷な働きぶりが敬遠されているのである。
こうした官僚を取り巻く労働環境の悪さを見て、東大生に限らず他の一流大学でも「同じ激務ならば、官僚になるよりも、より多くの報酬を得られる外資系企業などに勤めたほうがよい」と考える学生が少なくない。最近は、起業する人も増えている。
官僚OBには、天下りが規制されたことの影響を指摘する声が少なくない。かつてのように「官僚時代は安月給でも退職後に天下りルートに乗って多額の報酬を得られるので、民間に勤めるより生涯収入は多い」と言えなくなったことが官僚離れを加速させているというのだ。
大企業は、少子化が進む中でより良い人材を確保すべく給与水準をどんどん引き上げている。優秀な学生たちの多くにとってはもはやキャリア官僚は「エリートの職業」とは映っておらず、「割に合わない仕事」になり下がってしまったということだ