授業で使用していたタブレットで多数の女子児童の着替えが盗撮され、画像データが共有されていたことが判明した。一方で盛山文科大臣は「全国調査は考えていない」と記者会見。今何が必要か?学校での性教育に詳しい、染矢明日香さんに話を聞いた。
泉谷由梨子
2024年02月08日 15時7分 JST
東京都内の市立小学校で2023年12月、複数の高学年の男子児童が、授業で使用していたタブレットで多数の女子児童の着替えを盗撮、画像データを共有していたことが判明した。
学校の中では、これまでも「スカートめくり」「ズボンおろし」「覗き」など、「いたずら」と括られてきたものも含む性暴力が発生してきた。
加えて、子どもとインターネットの距離が近くなり、その被害はさらに甚大になっている。盗撮画像が流出すれば、長期間に渡って、学校の外の「加害者」からも被害を受け続けることになるからだ。
今回の盗撮で、同市教委は外部への画像データ流出は確認されていないとしている。
ハフポストの取材では、別の小学校でも同様の被害があったことがわかっているが、盛山正仁文部科学大臣は、記者会見で、各学校での盗撮事案を網羅的には把握しておらず、文科省としての実態調査を行うことは考えていないとの見解を発表している。
今何が必要か。NPO法人ピルコン理事長で学校での性教育に詳しい、染矢明日香さんに話を聞いた。
ーー今回の事件をどう受け止めていますか?
今回は報道で発覚しましたが、氷山の一角。全国調査をして対策を講じるべきだと思います。私も、子どもや教職員を対象にした講演・研修の仕事をしている中で、全国どこでも同じような問題が起こっていると聞いています。
また、盗撮の他にも、他の生徒や大人から下着姿や性的な画像を送るよう求められ「自撮り」してそれが流出するといったトラブルは頻発しています。ネット上に一度アップロードされれば完全に消すのは大変難しい。
ーー性犯罪として加害児童を厳重に処罰する必要性についてのコメントも多くみられました。
加害した児童を「性犯罪者の予備軍」として排除しようというコメントを私も見ました。しかし、もしかしたらその子もこれまで被害にあってきたのかもしれないし、なぜそれが相手の尊厳を傷つける行為なのか、友達がしようとした時に止めるにはどうすればいいのか、などをこれまで学ぶ機会がなかったということの裏返しだと思います。
やってしまったことの責任を知り反省することも大切ですが、教えてこなかった社会の問題の皺寄せを子どもが受けていると考えるべきです。