盛山正仁(まさひと)文科相(70)が旧統一教会関連団体から選挙支援を受けていたとする記事を、朝日新聞が2月6日付の紙面に掲載し、岸田政権は新たな火種を抱えることになった。だが、「問題閣僚」は盛山氏だけではない。岸田文雄首相の側近中の側近で、政権ナンバー2の座にある林芳正(よしまさ)官房長官(63)。今回、「週刊新潮」は林氏と教団関連団体のメンバーが一緒に写った「必勝写真」を入手した。
***
「週刊新潮」が入手した一枚の写真――。林氏がスーツ姿の男性から「祈 必勝」という熨斗(のし)がついた千羽鶴を受け取っており、その左右に3人の男女が並んでいる光景が写されている。撮影されたのは衆院選を翌月に控えていた2021年9月6日、場所は地元の山口県にある林芳正事務所だ。
よくある「政治家と支援者の記念写真」だが、実はこれはわれわれ国民にとって非常に重い意味を持っている。首相を支える存在であり、政府のスポークスマンでもある林氏が国民に対して「うそ」をついていたことを示す、動かぬ証拠だからだ。
22年7月8日に安倍晋三元首相が銃撃された事件以来、自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の蜜月関係を追及する動きが盛り上がったことは今さら言うまでもないだろう。多くの自民党議員が役職の辞任などに追い込まれ、厳しい追及の矛先は当然、当時、外務大臣を務めていた林氏らにも向けられた。
これまで林氏は、旧統一教会の教祖・文鮮明氏の提唱によって1975年に創刊された日刊紙「世界日報」の取材を、教団系とは知らずに受けたことは認めているものの、「今回点検を行った限り、御指摘の団体から、献金や選挙活動の支援を受けたことはない、ということでございます」と説明していた。
“応援します”
林氏に「必勝」と掲げられた千羽鶴を手渡したスーツ姿の男性を仮にA氏と呼ぶ。その隣にいる男女はそれぞれB氏、C氏とする。実はこの3人は旧統一教会の信者である。それだけではない。A氏は教団関連団体「世界平和連合」の事務総長(肩書きは当時、以下同)で、銃撃される原因となる「ビデオメッセージ」を安倍元首相が送った教団関連団体UPF(天宙平和連合)の幹部。B氏とC氏も世界平和連合山口県連合会の本部長と事務局長である。
林事務所関係者が面会時の様子を明かす。
「会談は1時間弱行われて、林氏とA氏が主に話をしていました。お互い東大出身ということで、学生時代の思い出話から始まって最近の国際情勢や憲法改正、さらには彼らが推進している日韓トンネルなど幅広いテーマを論じていました。A氏らから中国や韓国との関係についての見解を問われて、林氏が“知恵深く付き合っていかなければいけない”“韓国の国会議員とも付き合いは深い。韓国との友好関係を推進する立場だ”という趣旨を回答。最後にA氏らは“応援します”との意向を林氏に伝えました」
「林氏の元秘書がセッティング」
さて、ここで大事なポイントは、林氏は意見交換をして「応援します」と言ってきたA氏らについて、教団関連団体の人間だと把握していたかということだ。自民党山口県連関係者は「わからないわけがない」と断言する。
「当たり前ですが、A氏らは意見交換の前に、UPFや世界平和連合の設立経緯や理念、活動目的を伝えています。当然、韓鶴子総裁の名前も出しているはずです。さらに言えば、この面会をセッティングした林氏の元秘書が、宇部市内の教会にまで来ているわけですから、林氏が知らないはずがないでしょう」
その元秘書とは、問題の写真にも納まっている篠崎圭二・宇部市長だ。「毎日新聞」(22年9月2日付山口版)によれば、林氏の応援もあって20年11月22日の宇部市長選で初当選をした篠崎市長は、この選挙の前後に旧統一教会の施設で信者が50人ほど参加した集会に出席している。それから1年も経過していないタイミングで、篠崎市長が自分の「親分」である林氏に面会相手の素性を伝えないことなどあり得ないであろう。
林芳正事務所に見解を尋ねると、