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【インドネシア・デルタ株感染】 医療用酸素が不足 患者63人が死亡・・・ジャカルタでは1日あたりの葬儀件数が5月初旬の10倍に急増
同国政府は4日、医療用酸素を優先的に供給するよう生産業者に命じたと明らかにした。
複数の病院によると、医療用酸素がほぼ底を尽きている状況だという。酸素不足により患者63人が死亡したとの報告もある。
インドネシアでは毎日2万5000人以上の新規感染者が確認されている。
人の移動が増えたことや、インドで最初に確認された感染力の強いデルタ変異株の流行が、この危機的状況を悪化させている。
東南アジアで最も感染が拡大している同国では、これまでに約230万人がウイルス検査で陽性と判定され、6万人以上の死者が出ている。
しかし専門家は、首都ジャカルタ以外ではウイルス検査がかなり不十分であることから、全体数はさらに大きい可能性があると警告している。
バンドン市の2つの病院は5日、医療用酸素が不足しており、緊急治療を求める新規患者の受け入れを拒否しなければならないと明らかにした。
先週末には、バンドン、スラカルタ、パメカサンの各都市の公立病院の救急隊や集中治療室(ICU)が、
殺到する入院希望者の対応に苦慮しており、受け入れを拒否するところもあるとした。
また、屋外にテントを張って対応する病院もある。
「戦争のような緊急事態だ」と、高齢の母親の治療を求める女性はBBCのインドネシア語サービスに語った。
女性の母親は病床不足を理由に入院を断られ、別の病院の仮設テントでしか受けれてもらえなかったという。
バンドンの病院では酸素不足を理由に、新型ウイルス感染症COVID-19患者の緊急治療室が2日時点で閉鎖された。
同病院の院長は先週末、「4日前に、販売店や業者からの医療用酸素が供給不足に陥った」とBBCに語った。
「そこで酸素をより効率的に使おうとした」。
また、病院からの需要が増え、生産者が対応に苦慮していると付け加えた。
スマート・パメカサン病院の肺の専門医サイフル・ヒダヤット氏は、「毎日大勢やってくる。COVID-19患者が10~15人くらい来て、行列ができている」とBBCに語った。
ヒダヤット医師によると、当初はCOVID-19患者専用の緊急テントを設置していたが、その後何人かの患者の受け入れを拒否せざるを得なくなったという。
保健省職員のシティ・ナディア・タルミジ氏は、ガス業界に医療用酸素の生産強化を要請したと明らかにし、買いだめをしないよう人々に訴えた。
「市民が酸素を買いだめしないことを願っている」とし、買いだめは他の人への供給不足を悪化させるだけだと付け加えた。
タルミジ氏の発言は、在宅医療のための酸素ボンベを個人的に確保しようとする人たちに向けられたもの。
現在、新品のボンベや詰め替えの確保が困難な状況で、需要の高まりから価格も2倍に膨れ上がっている。
4日の政府発表によると、ジャカルタではCOVID-19関連の1日あたりの葬儀件数が5月初旬の10倍に急増している。
また、国内の医療の最前線で働く人たちのほとんどがワクチン接種を終えているにも関わらず、多くの感染者や死者が出ている。
インドネシアのワクチン接種の大半は中国製ワクチン「シノヴァク」に頼っており、専門家はデルタ株に対する有効性を高めるために3回目の追加接種を行うか検討中だ。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は先週、同国が「COVID-19による大惨事の瀬戸際にある」と発表した。