新型コロナは昨年5月に感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、感染状況を示すデータは「全数把握」から、全国約5千の定点医療機関による「定点把握」に変わった。
5類移行後では、「第9波」とされる昨年8月28日~9月3日に1医療機関当たりの感染者数が20・50人とピークに。その後は減少に転じたが、昨年11月下旬から10週連続で増加し、直近の1月22~28日には1医療機関当たり14・93人と、インフルエンザであれば「注意報」(基準値10人)レベルとなっている。
能登半島地震で被災した石川県では避難所などで新型コロナの感染が急速に広がり、断水で手洗いなどが難しい中で対策が急務となっている。
新型コロナは変異を繰り返しながら流行を続けており、現在国内の主流は「JN・1」と呼ばれるオミクロン株の一種。令和4年に国内で広がった「BA・2」系統がさらに変異したものだ。
昨年12月ごろから世界各地でJN・1の検出割合が急増し、世界保健機関(WHO)が同月に「注目すべき変異株(VOI)」に指定。国内でも徐々に増え始め、東京都によると、昨年12月4~10日に17・2%だったJN・1の割合は、同25~31日に45・1%、1月8~14日には58・3%と急速に拡大している。
海外の感染状況に詳しい東京医科大の濱田篤郎特任教授(渡航医学)は「海外では1月に入り、JN・1の流行が落ち着いてきた。国内は遅れて広がり、ほとんど置き換わりつつある」とし、2月頃にピークに達する可能性があるとする。
JN・1は免疫を逃れる能力が高く、感染力が強いことも懸念されているが、濱田氏は「欧米などの状況を見ると、感染者数が増えても重症者が増加して医療が逼迫するほどの状況にはならないのでは」と分析する。
過去4年間、夏と冬に大きな流行を繰り返してきた新型コロナ。濱田氏は「冬の流行は呼吸器感染症の特徴だが、夏の流行は他の呼吸器感染症ではあまりない。冬場は何年も流行が続く可能性もあり、第二のインフルエンザのような存在になると思われる」とする。
感染対策として「マスクや手洗いに加え、症状がある人は医療機関を受診し、自宅療養すること。今後も高齢者はワクチンを定期的に打つことが大切だ」と話した。(王美慧)