2024年2月1日 21時59分
性同一性障害特例法に基づき男性から性別変更した40代女性が、凍結保存していた精子でパートナーの30代女性が生んだ子を認知できる地位にあることの確認を国に求めた訴訟の判決で、東京地裁(品田幸男裁判長)は1日、「確認の利益を欠き、不適法」と訴えを退けた。
◆「訴えは適切と言えない」
品田裁判長は、判決理由で「認知届の不受理に不服があれば家裁に申し立てる方法が有効で適切。確認を求める訴えは有効で適切と言えず不適法」とした。
判決文などによると、40代女性は性別適合手術を受け、2018年に同法に基づき戸籍上の性別を変更した。性別変更前に凍結保存した精子で、パートナーの女性が同年に長女を、20年に次女を出産。40代女性は自らを「父」、子ども2人を「子」とする認知届を本籍地の自治体に出したが受理されなかった。
◆「原告の訴えを門前払いした判決で残念」
子ども2人は40代女性を相手に認知を求める訴えを東京家裁に起こし、長女は40代女性が法律上男性だった性別変更前に生まれたことから二審東京高裁判決で認知が認められたが、次女は性別変更後に生まれたとして認められなかった。
生物学上は同じ親を持つ子どもの間で法律上の親子関係が分かれた状態が続く結果になったことについて、早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「原告の訴えを門前払いした判決で残念。性の多様化や生殖医療が進歩し、民法などの親子のあり方を決めるルールを見直すべき時期に来ている。裁判所はもう少し踏み込んだ判断を示してもよかったのではないか」と指摘した。(中山岳)