なんとも寂しい?「趣味」「友人」「居場所」いずれももっていない高学歴中高年男性

なんとも寂しい?「趣味」「友人」「居場所」いずれももっていない高学歴中高年男性

なんとも寂しい?「趣味」「友人」「居場所」いずれももっていない高学歴中高年男性

株式会社日本総合研究所の調査*によれば、職業生活への満足度と、私生活への満足度は、いずれも高学歴になるに従って幸福度が高くなる傾向がみられます。定年前においては、高学歴な男性ほど、自分の望んだ生活を歩んでいる人が多いのかもしれません。では、定年後にはどのような生活が待ち受けているのでしょうか。ここでは、同調査の結果を踏まえて、高学歴中高年男性の私生活について取り上げます。※本記事は、「中高年男性の働き方の未来」(金融財政事情研究会・小島明子著)の内容を一部改編・追加の上、掲載しております。

寂しくみえる高学歴中高年男性の私生活

日本総合研究所の調査によれば、休日に充実した時間を過ごせている男性は66.6%であり、約7割近くの男性は充実した休日を過ごせていることが明らかになっています。

一方で、定期的に人と交流するために行く場所(家と職場は除く)がない高学歴中高年男性も66.1%に上ります。多くの高学歴中高年男性が休日に充実した時間は過ごしているものの、居場所の多様さという視点で見ると、家と職場以外の居場所を持っていない人は少なくありません。

さらに、私生活においては、日ごろから、趣味を持っていない男性は約2割、読書をしない男性は約4割と一定割合存在しています。

人間関係においては、「自分よりも年齢が10歳以上若い友人の数」「悩み事を相談できる友人の数」SNS等でやりとりする友人の数」では、0人が最も多く、いずれも約4割~5割、過去1年以内に新しい友人や親しい知人を作った男性は、約3割です。

昔からの友人など気軽に会っている友人がいないゆえに、新しい友人をつくっていない状況が窺えます。

「趣味」「友人」「居場所」がない高学歴中高年男性

これらのことから見えるのは、「趣味」「友人」「居場所」、いずれももっていない高学歴中高年男性の姿です。趣味や読書をしていれば、会話の幅も広がり、新しい友人できるきっかけにもなりますが、それも難しく、先々孤独になるリスクが懸念されます。

ジョー・コックス委員会が、赤十字社などの福祉団体と連携し、2017年に約1年間かけて孤独に関する調査※1によれば、イギリスでは、900万人以上の人々が常に、もしくはしばしば「孤独」を感じており、その3分の2が「生きづらさ」を訴えているということが示されています。月に1度も友人や家族と会話をしないという高齢者(65万人)の人口は20万人、週に1度では36万人に上ります。

委員会では「孤独が人の肉体的、精神的健康を損なう」と警告、肥満や一日に15本のタバコを喫煙するよりも有害であるとする啓発活動を実施し、孤独がイギリスの国家経済に与える影響は、年間320億ポンドに上るとされています。

日本においても、孤独の問題というのは社会問題として注目されることが増えていますが、将来の身近な問題として捉え、定年後の準備のみならず、日ごろから、「趣味」「友人」「居場所」を意識して持つことは、健康的な生活を過ごす上でも大切なことなのだと感じます。

「ガラスの地下室」に閉じ込められた中高年男性

日本総合研究所の調査では、「男性はつらい」と感じたことのある男性は60.4%に上ることが明らかになっており、半分以上の男性が、男性であることにつらさを感じていました。「男性はつらい」と感じたことのある理由として、「経済的責任が重い」(60.1%)が最も多く、「仕事の責任が重い」(54.2%)と続いています。

中高年世代は、正社員同士の夫婦はまだ多くはありません。世帯主の男性は多く、自分の収入が世帯で占める割合の100%を占める男性の比率も高いことが特徴です。

「趣味」「友人」「居場所」がないうえに、経済的な責任も抱え、逃げ場がない様子も想像できます。

米国1993年に発行されたワレン・ファレル氏※2の著書によれば、男性が家庭における経済的責任を負うが故に、長時間労働や危険な職業に就き、女性に比べて自殺率が高く、平均寿命も短い状況を指摘しています。

その過酷な現実は「ガラスの地下室」と表現されています。女性には、「ガラスの天井」があり、出世・昇進が難しいことが問題として取り上げられますが、中高年男性は、「ガラスの地下室」に閉じ込められているといっても過言ではないと感じます。  

女性活躍の施策のもとに、女性が活躍をしていくうえでの課題に対して、社会からの関心は高まってきました。

今後は、優先度が低くなりやすい、中高年男性が抱えている課題に対しても同時に目を向けていくことは、社会全体の人たちの生きやすさ、働きやすさを実現していくうえでも、意義があるのではないでしょうか。

<参考> *(2022年2月8日改定)東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査結果(報告) ※1 “Combatting loneliness one conversation at a time” Jo Cox Commission on Loneliness ※2 「男性権力の神話」ワレン・ファレル著、久米 泰介 (翻訳)(作品社)

小島 明子

日本総合研究所創発戦略センター

スペシャリスト

(出典 news.nicovideo.jp)

中高年男性へのデータによる反論として、世の中モテる男が多数派だった時代など歴史上存在せず、常に恋愛強者(≠既婚者)は約3割であったことが示されている。厚労省の出生動向基本調査でも1982年から2015年までの長期推移において、「婚約者または恋人がいる」率は、1982年は男性21.9%、女性23…
53キロバイト (8,124 語) – 2023年12月6日 (水) 06:15

(出典 novio-media.jp)
「趣味や友人、居場所を持っていないことは、確かに寂しいですね。しかし、追い求める趣味や真の友情はいつでも見つかる可能性があります。ひとつの扉が閉じられたとしても、新たな扉が開くこともあるのです。前向きにチャレンジしてみてください。」

<このニュースへのネットの反応>

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