首相は改憲を「先送りできない課題」の一つに位置付け、任期中の実現に向け「議論を前進させるべく最大限努力したい」と表明。「条文案の具体化を進め党派を超えた議論を加速していく」と訴えた。権力者を縛る憲法について首相が国会で改正を訴える行為は、国務大臣らの憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条に反するとして野党などから批判を受ける可能性がある。
首相はこれまでも国会で改憲には言及していた。ただ、昨年10月の所信表明演説で「条文案の具体化などこれまで以上に積極的な議論が行われることを期待する」と話すなど、国会での議論を促す程度にとどめてきた。今回を含めた首相の施政方針と所信表明の演説計7回で改憲に関する分量は今回が最も多い。
演説は賃上げや投資促進、人口減少対策など従来訴えていた政策の説明が中心で、新たなスローガンの打ち出しはない。最も多くの分量を割くのは経済。昨年の「成長と分配の好循環」という表現は用いず、賃上げなどにより「物価高を上回る所得を実現していく」と唱えた。
冒頭で能登半島地震の復興に全力を挙げる決意を表明。復興や経済再生の文脈で「新たな力」という言葉を計6回使い、「『明日は今日より良くなる日本』に向かう確かな力になっていく」と呼び掛けた。演説は約1万1300字で、2022、23両年とほぼ同じ分量となった。