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日本新の前田穂南の強さは「人に左右されない」 ペースメーカーの前に出ても力を発揮
産経新聞
19年ぶりに日本記録を更新し、電光掲示の前で笑みを浮かべる前田穂南=1月28日、ヤンマースタジアム長居(宮沢宗士郎撮影)
周囲に左右されない前田穂南(天満屋)の強さが存分に発揮された。28日に行われた第43回大阪国際女子マラソン(産経新聞社など主催、奥村組協賛)。ペースメーカーの設定は2時間20分台のゴールだった中、さらに上を目指す前田は、中間点を過ぎて前に出た。「日本記録を出したい思いがあった。体が動いたらいこうと決めていた」。後半も失速することなく、ゴールまで駆け抜けた。パリ五輪を懸けた争いだけではなく、記録にもこだわった結果だった。
レース展開も序盤からその思いを後押しした。5キロ通過は16分32秒で、設定より8秒も早かった。武冨豊監督は「最初の入りが早かったこともきっかけになった」。その後も1キロ3分20秒前後のハイペースが続いた中、前田は「不安はなかった」と飛び出し、21~22キロを3分11秒という圧巻のペース変化で、ライバルを置き去りにした。
31キロを過ぎてエデサにトップを譲り、40キロ手前からは向かい風や雨に打たれて足が止まりかけた。それでもトラックに入って記録更新が現実味を帯びると「絶対切ろう」と残る力を振り絞った。日本女子の歴代の上位記録は海外レースで終盤まで男性ペースメーカーの力を借りていたが、この日の前田は後半を単独で走り切った。武冨監督は「人に左右されない。常に練習も一人でやれるし、人に頼らない」と目を細めた。
これでパリ五輪代表に大きく前進したのは間違いない。日本記録保持者となった27歳は「東京五輪では(33位で)すごい悔しい思いがあった。もう一度パリで世界と勝負して、自分の走りをしたい」。大きな自信を胸に、次なるスタートラインを見据えた。(大石豊佳)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0958455687ba0ae21bf8f4ff7ba4af03fa62a00
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