女性にとって生理のケアがいかに切実な問題か。「メッセージを発しなければならない」と取材に応じてくれた及川教授は、まずは看護学の視点から、健康面のリスクを挙げた。
「男性の尿道が約20センチあるのに対し、女性は4センチほど。男性に比べてぼうこうに細菌が侵入しやすいため、下着を替えられなかったり、同じナプキンを当てっぱなしにしたりすれば、ぼうこう炎になる可能性があります」
だが、このような医学的な知見がなかったとしても、生理についての基本的な知識があれば、「生理用品はぜいたく品」などとは言えないはずだ。
月に一度のペースで訪れる生理は、3~7日間にわたって出血が続き、期間中に使うナプキンの枚数は平均で20~25枚ほど。一般的に月経開始から3日目までは経血の量が多く、2~3時間程度でナプキンが血でぐっしょりとぬれ、吸水量の限界を迎えることもある。授業中や会議中などで、どうしてもこまめにナプキンを替えられず、経血が漏れて下着や服を汚していないか冷や汗をかく経験は、女性にとっては“あるある”だ。
■「落ちていたら拾ってきてほしい」
「思春期の男の子だと、夢精をして下着を汚すことがありますが、精液の量と経血の量はケタ違い。ナプキンが手に入らないがゆえに、血でドロドロに汚れた下着を履き続けるなんて、あまりに残酷です」(及川教授)