情報を寄せた保護者によると、修学旅行があったのは昨年12月。女性教員が裸で万歳させ、水滴の有無を目視で検査。「上がってよし」や「拭き直し」を指示したという。
学校側に取材した。男女それぞれの浴場に同性の教員を2人ずつ配置し、水滴の有無に加え、決められた時間を守らせるといった「入浴指導」をしたと説明する。以前から続けているという。
同校の今回の修学旅行を巡っては「子どもが裸で万歳をさせられた」との匿名の苦情が福岡県教育委員会にもあった。連絡を受けた市教委は学校側に事実確認を要求。同校の男性校長(57)は引率した教員から話を聞き「入浴指導はしたが、万歳をさせた事実はなかった」と結論付けた。生徒への聞き取りはしなかったという。
校長は「水滴だけでなく、タオルを湯船に入れないなどのマナー全般を指導している。本来なら家庭で教えることではあるが、知らないまま大人になれば恥をかく」と正当性を強調。自身も教員時代から長らくしてきたといい「見直す考えはない」と断言した。
教育現場からは、水滴で旅館の床がぬれて児童、生徒が転倒するのを防ぐといった、安全面の観点から必要な指導との声も聞かれる。福岡県内の小学校の女性教諭(38)は「気持ち悪いと感じる子がいるなら、指導の意図が伝わっていないだけではないか」と言う。
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風呂上がりの指導はどれほど広く行われているのか-。ネット上では経験者の声が多く取り上げられているものの、文部科学省も「調査や統計はなく、分からない」としており、実態は見えにくい。
昨年7月、女性の生理に関する問題などを扱うウェブメディア「女性ホルモン大学」は交流サイト(SNS)で水滴チェックに関して調査した。応じた1119人の約4分の1が「経験がある」と回答。「嫌だった」「抵抗があった」などの否定的なコメントが目立ったという。
「教員に裸で万歳をさせられた」「女性教員が男子生徒をチェックをしたりした」といった回答もあった。女性ホルモン大学を運営する「あしたるんるんラボ」(東京)の木内仁美副社長(34)は「地域は東京や愛知などさまざまだが、九州が多い印象だった」と話した。
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近年は、子どもの性暴力被害を防ぐため、胸やお尻など身体の「プライベートゾーン」(体操服で隠れる部分)を他人に見せたり、触らせたりしないよう教える教育が主流になっている。福岡県も児童向けに啓発冊子を作成し、ホームページで公開している。
子どもの権利に詳しい真下麻里子弁護士(42)=東京=は「時代錯誤な指導だ。教員はプライベートゾーンがさらされることは許されないと指導すべき立場なのに」と疑問視。「転倒を防ぐなら小まめに床を拭くなど別の手段もある。子どものプライバシーを侵害する理由にはならない」との見解を示した。(平峰麻由、古川大二)