それでは次に東京23区の人口変化を見ていきたいと思います。図表3は23区の人口の変化を示しており、表中の値は各5年間で人口が増加したのか、それとも減少したのかを示しています。単位は万人です。なお、表中の赤字は人口が減少した場合を示しています。
この表から興味深い3つの結果が読み取れます。
まず1つ目は、2045年まで一貫して人口が増え続けるのは、千代田区、中央区、港区、文京区、品川区、そして渋谷区の6つのみだということです。
これらの区は2045年まで人口が緩やかに増えていきます。中でも比較的人口の増え方が大きいのは、中央区、品川区、文京区の3区です。これらの区は、人口減少時代にあっても人が集まり続ける魅力ある地域だといえるでしょう。人口が増え続けるということは、不動産価格にも影響を及ぼし、不動産価格が今後も値崩れしにくいと予想されます。
■人口の減少が大きい足立区
2つ目は、2025年以降から人口が持続的に減少するのは、江戸川区、葛飾区、足立区、荒川区、そして豊島区の5つだという点です。これらの区では2025年以降、5年ごとに平均約7000人ずつ人口が減っていくと予想されます。中でも人口の減少が相対的に大きいのは足立区であり、5年ごとに平均約1万人ずつ人口が減っていく可能性があります。
東京23区といえど、人口減少は他人事ではないというわけです。
■2035年以降には新宿区、目黒区、世田谷区でも人口減少
3つ目ですが、1つ目と2つ目以外のすべての地域が2035年以降に人口減少を経験するという点です。この中には新宿区、目黒区、世田谷区などが含まれています。新宿は繁華街、目黒はおしゃれな街、世田谷は高級ベッドタウンというイメージですが、これらの地域も人口減少から逃れることができません。
ちなみに、2035年以降で相対的に人口減少の規模が大きいのは、大田区、板橋区、練馬区の3つです。これらの区では5年ごとに平均約7000人ずつ人口が減っていくと予想されます。
さて、これまでの内容を整理すると、東京23区内において人口が増え続けるのは、千代田区、中央区、港区、文京区、品川区、渋谷区の6つのみであり、それ以外の区ではタイミングは違えど人口が減少していくといえます。時間がたてばたつほど、23区内の人口格差が明確になるといえるでしょう。