特にバス事業は、従来からの人手不足に加え、2024年問題(時間外労働時間の上限設定に伴う輸送力不足の問題。2019年の労働基準法改正によるもので、自動車運転業務は適用が5年間猶予されていた)で、いよいよ深刻な運転手不足が危惧されている。
常任理事会の冒頭挨拶で、会長の清水一郎氏(伊予鉄グループ社長)は「多くの産業が直面している問題だが、バス事業にとっては本当に深刻。全国各地で影響が出ている」と強調。解決に向けたこれまでの取り組みと要望を示すとともに、「バスは公共交通の最後の砦といわれるが、我々は民間会社であり、民間ができることには限りがある。我々が何とか踏ん張っていくためにも、国にはしっかり支援をしてほしい」と訴えた。
清水氏が言及したのは、(1)人材確保に必要な賃上げのための定期的な運賃改定、(2)外国人運転手制度、(3)補助額算定の方式の改善要求に対する一定の成果、(4)EVバスの導入、(5)キャッシュレス環境整備、(6)自動運転の本格化、など。
特に(1)賃上げに向けた定期的な運賃改定については、この数年で動き始めたものの「運賃改定には様々な制約条件がある。人件費が全産業平均という換算の仕方は、平均では人が集まらない。計算の仕方も改善する方向で国に検討をお願いしている」と説明した。
また、(2)外国人運転手制度は、国土交通省が外国人労働者の在留資格「特定技能」に自動車運送分野の追加を検討しているところ。これに対し、同協会として2024年度からの制度化を目指して準備を進めており、研修・訓練、在留資格取得後に外免切替、大型第二種免許取得といったリクルーティングができるシステムを構想しているという。
このほか、清水氏は(5)キャッシュレス環境整備について、キャッシュレス対応をしても運賃箱が併設されていることに「現金対応に対する運転手の負荷は大きい。いろんな意味で二重投資になっている。事業者だけではキャッシュレス化の推進は難しい」と話し、国の環境整備を求めた。(6)自動運転については、全国各地で実証実験がおこなわれている一方で、本格的な運用につながっていないことに「本当に人手不足の解決につながるのかという問題意識を持っている」と指摘。2024年を「自動運転の本格化元年」とすべく、実現に向けた取り組みを訴えた。