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「日本は防衛費を今すぐGDPの3%にすべき」トランプ前政権の国防ブレーンが提言
「中国は台湾を征服する準備をしている。日本は2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)の2%にすると言っているが、今3%にすべきだ。米国人(在日米軍)がいなくなったらどうするのか。日本人は武士道サムライやバンザイ突撃をするのだろうか。私はそうは思わない」と中国の軍事増強に危機感をあらわにした。
■ 「米国は準備が整わないまま大国間競争の時代に突入している」
コルビー氏は「米国は準備が整わないまま大国間競争の時代に突入している。この競争時代に、いかに自由と繁栄を確保するかは現代の国家安全保障上の重要課題だ」として「マラソン・イニシアチブ」を立ち上げた。
マラソン・イニシアチブの狙いは国家がライバルとの長期にわたる競争を乗り切るために必要な外交・軍事・経済戦略を練ることだ。
コルビー氏は2017年の国家安全保障戦略で国防総省を代表して詳細な説明を行い、18年の国家防衛戦略を策定した。大国間競争でロシアは地域的な対抗者にとどまるが、より大きな脅威である中国は覇権を争うライバルだと明確に位置付けた。
「太平洋第一主義者」を自認するコルビー氏は本当に重要な競争相手は中国だけだと考えている。
■ 米国の安全保障において最大の脅威となった中国
トランプ前政権での役割について、コルビー氏は「ジェームズ・マティス国防長官と彼のチームの下で国家防衛戦略を策定した。中国に焦点を当て大国間戦争に備えることに重点を置こうとした。非常に重要な方向転換だった。元米国務長官ヘンリー・キッシンジャーの言葉を借りれば根本的な現実を反映せずに大きな戦略転換はできない」と振り返った。
22年国家防衛戦略で民主党のバイデン政権は中国重視、大国間競争という基本的な考えを踏襲し、「他の地域を軽視するより、むしろ1つの大きな戦争に勝つことに焦点を当てている」とコルビー氏は強調する。22年版では、戦略的競争相手の中国は「米国の安全保障に対し最も包括的で深刻な挑戦を行っている」と警戒感を一段と強めている。
「日本や台湾の友人に言いたいのは、私たちは多くの進展を遂げたが、中国のパワーが増大し続けていることを考えると十分ではないということだ。中国はすでに力をつけている。購買力平価で米国を追い抜き、世界最大の経済大国になった。産業基盤は米国を凌駕する。オーストラリア戦略政策研究所によれば、中国は多くの技術分野で米国と肩を並べている」(コルビー氏)
次の米大統領任期の25~29年、トランプ政権とバイデン政権どちらが中国との戦争を回避できる可能性が高いのか。コルビー氏は「トランプ政権は強さによる平和だ。バイデン政権が誕生した時、世界は相対的に平和だった。しかし欧州では大規模な戦争が勃発し、中東でも火を吹き、拡大する恐れがある」という。
■ 「現状で米中戦争を回避する方法は中国の主張を受け入れること」
「私は軍事的なバランス、ハードパワーと地域的なバランスを重視している。中国の軍事力増強やその他の準備の規模に対して、現在の米国の態勢は明らかに十分ではない。ウクライナや中東での戦争がすぐに終わりそうにないことを考えると、このままではいけない。現状では米中戦争を回避する唯一の方法は中国の主張を受け入れることだろう」(コルビー氏)
トランプ前政権で大統領顧問を務めたケリーアン・コンウェイ氏は米Foxニュースで「第2次トランプ政権は中国に焦点を当てるだろう」と指摘した。中国は窓を閉じるかもしれないし、甘い言葉で米国に取引を持ちかけるかもしれない。しかし、それが説得力を持つとは思えないし、どのように機能するのかも自分には分からないとコルビー氏はいう。
以下全文はソース先で
JBpress 2024.1.20(土)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79017