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武田修宏氏、テレビ局のサッカー中継に疑問視 「お笑いの方やアイドルもいいが… 日本のスポーツ中継はどうなんだろうか」
日本代表が19日に行われたアジアカップ(カタール)1次リーグD組第2戦のイラク戦で、1―2と敗戦を喫した。直後の試合ではインドネシアがベトナムに勝ったため、日本の首位突破が消滅した。
元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)は相手の気迫に押された点や、MF三笘薫(26=ブライトン)が不在の影響を指摘。メディアの楽観ムードにも警鐘を鳴らし、スポーツ中継の〝タレント化〟に疑問を呈した。
史上最強のはずが…。まさかの黒星で国際Aマッチの連勝が10でストップした。日本は立ち上がりからイラクにプレッシャーをかけられると、前半5分にFWアイメン・フセインのヘッド弾で先制を許す。
同アディショナルタイムにもフセインに決められて2点のビハインドで折り返し、後半は猛反撃に出るが、同アディショナルタイムにMF遠藤航(リバプール)が挙げた1点のみで衝撃の敗戦を喫した。
森保一監督は「いろんな反省をしないといけない」としつつも「結果だけに左右されず、成果と課題をしっかり次の試合に生かしたい」と必死に前を向いた。
武田氏は敗因について、まず〝気迫負け〟を指摘する。
「イラクはチャーター機で国を挙げての支援があり、おまけに中東の試合でホームの雰囲気をつくり出していた。イラクの選手が一つひとつのプレーで、日本の選手に勝つと喜び、握手をする姿を見て、この試合に人生をかけているなとすごい気迫を感じた」。気おされた日本は「チーム全体でミスが多かった」と精神面で準備の差が出た。
また「改めて攻撃における三笘の存在の大きさも感じた」と左足首負傷の影響で、この日もベンチ外だったエース不在の穴を指摘。前半はMF南野拓実(モナコ)、後半はMF伊東純也(スタッド・ランス)が左サイドで起用されたが、うまく機能しなかった。
ピッチ外の〝緩み〟も背景にあった。「試合前からメディアなどで楽観ムードが漂い、気の緩みがあったことは否めない」。2022年カタールW杯でドイツやスペインを撃破し、昨年から日本代表史上最長の10連勝を記録。
メディアはこぞって「史上最強」ともてはやし、今大会もアジアなら楽勝とのムードが充満していた。そうしたメディア側の〝油断〟が選手に少なからず伝わってしまったのか…。
そして、テレビ局の中継姿勢も疑問視。
「お笑いの方やアイドルの方を、客層を増やすために使う考えもいいと思うけど、南米や欧州など海外ではスポーツ文化が成熟しており、スポーツ中継はアナウンサーと代表OBなどがしっかりサッカーを伝えている。日本のスポーツ中継は、どうなんだろうか」。
イラク戦を中継したテレビ朝日にはアイドルが出演するなど、昨今のスポーツ中継は〝タレント化〟が目立つ。ライト層獲得のために必要な半面、スポーツの本質を報道する姿勢を見失わないようクギを刺した。
最後に武田氏は「アジアカップ初優勝した1992年の広島大会も、簡単な試合はなかった。もう一度、気を引き締めて優勝してほしい」。
レジェンドの金言が反攻のきっかけとなるか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/18bc5c1e36234ab79f28883dec391f731f9028a1