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明石家さんま主演舞台を見にいってわかった「本当のファン層は中高年と老人」という人気の実情
東京ドームシティ内に新設されたIMM THEATER(アイエムエムシアター)でのこけら落とし公演、明石家さんま主演の新作舞台「斑鳩の王子 -戯史 聖徳太子伝-」を見てきた。
このIMM THEATERは東京ドームと吉本興業グループが共同で運営する劇場で、名前のIMMとは、さんまの座右の銘でもある「生きてるだけで丸儲け(“I”kiterudakede“M”aru“M”ouke)」が由来。
開演時間13時の40分ほど前に到着すると、すでに入場待ちの人だかりができていた。年齢層はかなり高め。ざっと見たところ、おじさんとおばさん(&おじいさん、おばあさん)ばかりで、若者の姿はほとんど見られない。
この日の東京は最低気温が0度まで下がり、今シーズン一番の冷え込みとなったのだが、中高年にこの寒さは堪える。ようやく列が進み始めると、どこからか「上演時間3時間で休憩なしだって」と困惑したような声が聞こえてきた。
確かにこの高めの年齢層にとって3時間ぶっ通しというのは、舞台の内容云々よりも「途中、トイレ大丈夫かな」との不安が先に立つ。3時間休憩なしって「シンドラーのリスト」じゃあるまいし…。
いざ、会場に入る。新しい劇場はやはり綺麗だ。客席数は705席ということだが、747席だったBunkamuraシアターコクーン(現在は休館中)なんかに比べてかなり小ぢんまりとした印象で、舞台も少し狭く感じる。
ひとまず席に上着を置き、物販コーナーを探しにロビー(というほど広くはなかったが)へ戻ると、売られていたのはパンフレットと、1月10日に発売されたばかりの、明石家さんまの背中だけを撮影した「さんまの背開き」という写真集だけ。Tシャツやらトートバッグやらステッカーやらが売られていたら買おうと勝手に思っていただけに、なんだか拍子抜けだ。とりあえずパンフのみを購入したが、私のほかに買う人はおらず。「さんま、人気ないのかな」と心配になった。
そうこうするうち、開演時間に。さんまが演じる厩戸皇子(聖徳太子)の逸話や、仏教伝来後の蘇我家と物部家の争いを描かれたストーリーは、ネタバレになるといけないので詳しく書かないが、間のコントのパートが異常に長く、ここがなければ3時間もかからないだろう、という内容だった。
そのコント、さんまが芝居の途中で中尾明慶、温水洋一、山西惇、一色洋平らを相手に無茶ぶりし、アタフタする彼らにダメ出ししたり、「いいねぇ」とノセたりする猿回しのようなもの。ビートたけしが来なくなった放送末期の「オレたちひょうきん族」で、村上ショージやMr.オクレなんかを相手にさんまがやっていた時と、なんら変わらない。変わらないし、クドいくらいに長いのが玉にキズ。名前こそ出さないものの、「活動休止」や「当て逃げ」などと、後輩芸人たちの不祥事ネタもしっかり笑いに換えていたのはさすがだ。テレビでもこれくらいのイジリくらい、してもよさそうなものだが…。
終演時、「これで『こけら』も落ちたかな」と挨拶したさんまが「お腹空いてるんで」と言ってそそくさと舞台袖に引っ込むと、観客たちからのカーテンコールの拍手も特になく、即座に客電がつく。「以上をもちまして~」のアナウンスがスピーカーから流れ出し、余韻もないままに終了した。
若干のもの足りなさをを感じながら、北風の強い中を駅へ向かっていたが、元日に襲った能登半島大地震、いっこうに収まる様子のないロシアのウクライナ侵攻やガザ地区の紛争といった悲劇に思いを馳せれば、文字通り「生きてるだけで丸儲け」を実感させてくれる時間だったことは確かだった。
今回の観劇でわかったこと。さんま自身は若い女性にモテモテ、と思っているかもしれないが、さんまファンは同世代、もしくはそれ以上。ちゃんと自覚しないと。それは勘違いだというのがわかる。
(堀江南)
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