15日に市内で「インバウンド向け極上の喜多方ラーメン」の発表会があった。コンセプトは「地元で取れた農産物をふんだんに使った、喜多方でしか味わえないラーメン」だ。
コロナ禍が収束し市内に再び訪れ始めた外国人観光客に好まれる新しいラーメンを作ろうと、喜多方市や市内のラーメン店でつくる「蔵のまち喜多方老麺会」、会津喜多方商工会議所など、市内の食品製造業や観光関連業者らがプロジェクトを組み、昨年10月から試行錯誤を重ねてきた。インバウンドの多くを占める台湾からの観光客を念頭に、食材や製法、提供の仕方を練り上げていった。
完成したラーメンは、その名も「SUGOI(すごい)」。国内産100%の小麦と地元の湧き水を使ったもちもち食感の平打ちちぢれ麺で、スープはしょうゆベースにしじみだしの滋味あふれるあっさり系。市内で育てられた会津牛モモ肉のチャーシューを添え、特産の漆器で提供する。
開発を担当した「活力再生麺屋 あじ庵食堂」店主の江花秀安さん(46)は「外国の方にラーメンそのものはもちろん、背景にある会津の食文化も含めて関心をもってもらえるよう工夫をこらした。国内のお客さんにも満足してもらえると思う」と話す。
また、市内の料理人らが監修した郷土料理の鳥モツを使った鳥モツ親子丼やワンタンなどを加えたラーメンセット「OMAKASE(おまかせ)」も考案した。
価格は、ラーメンが3千円、セットが5千円(いずれも税込み)。使ったはしは土産用に持ち帰れる。海外のラーメンの相場を参考に、強気に設定した。
2月中旬から「あじ庵食堂」など市内3店舗で提供を始め、市内に約90店あるラーメン店で、順次広めていく方針で、ゆくゆくは土地の文化や歴史に根ざした食文化に触れる「ガストロノミー・ツーリズム」に発展させたいとしている。
市観光交流課の栗城由紀課長は「新しいラーメンを喜多方の名物に育てて、多くの外国人観光客に訪れてもらえるよう取り組んでいきたい」と話している。(斎藤徹)