「デマで救援活動が妨げられている。法規制を含む対策が急務だ!」
警察庁幹部がこう声を荒らげる。
能登半島地震に関して、「生き埋めになっています。助けてください」「挟まれて動けない」といったX(旧ツイッター)の投稿がネット上に溢れ、拡散された。だが、消防・警察が表示された住所に駆け付けるとニセ情報だったというケースが少なくなかった。
背景のひとつがXの仕様変更による「表示数稼ぎ」である。フォロワー数などの条件を満たしたユーザーは、投稿の表示数によって収益配分を得ることができるようになった。
デマの多くは、震災という緊急事態に乗じて収益を得ようとする不埒な連中が流している。
13年前の東日本大震災では、非常事態を発信する有効な道具だったXが、今は混乱を助長。
天変地異だけでなく、「ガザ紛争」でもXに虚偽の軍事映像などが投稿され、ハマスとイスラエルの対立をさらに煽るような事態が発生している。
デマ拡散は震災だけ、日本だけの問題ではないが、震災は人の生死に関わるだけに深刻だ。
「表示数稼ぎ」など決して許されないが、デマ拡散を規制する法律はない。警察も発信者を刑法違反の信用毀損や偽計業務妨害などで摘発するしかないのが現状。抜本的対策が急務だ。