避難所でかゆ詰まらせ死亡「100歳まで元気かと…」
能登半島地震で被災した石川県能登町国光の蔵(くら)やよゐさん(98)が11日、
避難所でかゆをのどに詰まらせ、病院で亡くなった。
元旦は朝食を全て平らげるほど元気だったという蔵さん。同居していた長男
の純男さん(68)は「部屋が乾燥し、のどが渇いたままだった。最初にコップ
1杯でも水を飲ませてやれば、誤嚥(ごえん)は防げたかもしれない」と悔やむ。
「100歳まで元気でいてくれると思っていた。まさかこんな形で亡くなるなんて」。
蔵さんは11日朝、避難していた柳田小学校の体育館でレトルトのかゆを
口にしてから、苦しみだした。
純男さんが心肺蘇生を試み、病院へ救急搬送されたが、お昼前に亡くなった。
町は「災害関連死」と判断したとみられる。
純男さんによると、蔵さんは1日朝、毎朝必ず出しているかゆに加え、おせち料理や
焼いたサケ、酢の物を完食。地震発生時、急いで外出から帰宅すると、蔵さんは
トイレからはってベッドに戻る途中だった。
「家が崩れれば下敷きになるところだった」。母親を背負い、自宅前にあった
車の中で一夜を明かした。2日に身を寄せた避難所ではオムツを嫌がり、
自分でトイレに行きたいと訴えていたという。
亡くなる前夜は暖房に「暑い」と、布団をかけずに眠っていた。純男さんは
「いつもの食事だけど、乾燥していたのに水を飲ませていなかった。
疲れやストレスもあっただろうが、それだけが悔やまれる」と言葉を詰まらせた。
遺体は自宅に安置し、町内の火葬場の順番を待っている。
葬式はできないといい、「せめてしっかり見送ってやりたかった」と唇をかんだ。