01月15日 17時40分
7年前(2017年)、近畿大学の男子学生がサークルの集まりで酒の一気飲みを繰り返したあと死亡したことについて、男子学生の両親が当時、一緒にいた学生などに賠償を求めた裁判の2審で、16人の学生が5000万円余りを連帯して支払うことなどで和解が成立しました。
7年前の2017年、近畿大学の2年生だった登森勇斗さん(当時20)は、テニスサークルの集まりで、ウォッカなどを一気飲みしたあと意識を失って翌日、死亡しました。
登森さんの両親は飲み会に参加していた学生など18人が適切な救護を怠ったとして賠償を求める訴えを起こし、去年(2023年)3月、大阪地方裁判所はこのうち16人に対して4200万円余りの支払いを命じました。
ほかの2人については飲酒量などを知らなかったとして訴えを退けています。
その後、両親や一部の学生は控訴し、両親の弁護士によりますと、16人との間で、両親への謝罪に加えて、和解金として5090万円を連帯して支払うことで15日、和解が成立したということです。
また、大阪高等裁判所は「物理的な飲酒の強要がなかったとしてもコールと場の空気による心理的な強要が働いた」として1審では認められなかったアルコールハラスメントに該当するとしました。
両親は、指導を徹底していなかったとして近畿大学に対しても訴えを起こしていて、去年3月、大学が再発防止の徹底を約束することで和解が成立しています。
【両親“二度と起きないよう”】
15日の和解を受けて登森勇斗さんの両親がコメントを出しました。
登森さんの両親は、「たった1本電話をかけて、救急車を呼んでさえいてくれたら、勇斗の命は確実に救われていました。勇人以外にもアルコールハラスメントや救急車を呼ばれなかったことで命を落とした学生は数多くいます。こん睡状態にありながら放置をすると命を落とすこと、そして、救急車を呼べば確実に命が救われることを再度認識してもらいたいと思います」としています。
そのうえで、「大学においては、このような事件が二度と起きないように改めて周知徹底してもらいたい。勇斗は生きたかった。本人が一番悔しかっただろうと思います。私たちの、勇斗を失ったことへの悔しさや心の傷が癒えることは決してありません」と結んでいます。