毎日新聞
新型コロナウイルスの後遺症を発症する人の約7割は女性――。後遺症専門外来を設置する医学研究所北野病院(大阪市)を受診した320人のデータから判明した。
国内で初めて新型コロナの患者が確認されてから15日で4年が経過した
北野病院の調査によると、後遺症患者のうち女性は68・8%で、男性は31・2%と女性が多かった。
主な症状は、「倦怠(けんたい)感」が最も多かった。「思考力と集中力の低下」や「軽い活動や運動後に数時間から3日以内の激しいだるさ」「不眠」が続いた。
年齢の中央値は45歳で、体格指数(BMI)は23・8。普通体重(18・5~25未満)に分類されるものの、やや肥満寄りだった。
新型コロナを発症した際に入院した人の割合は12・5%に過ぎず、症状の重さと後遺症の発症には関連性が乏しいとみられる。
米ワシントン大の研究者らが2022年10月に米医師会誌に公表した論文では、米国やドイツ、イタリアなど22カ国の120万人を分析した結果、女性の方が発症しやすく、20~40代に多かったとまとめた。発症のピークは男女とも20代だった。北野病院の調査と似たような傾向を示している。
世界保健機関(WHO)は後遺症を「発症から3カ月後に2カ月以上の症状がある」と定義している。体内の炎症が後遺症の原因とみられ、炎症の原因として体内にウイルスが残る持続感染や再活性化が指摘されている。
昨年2月に公表された横浜市立大病院の論文は、日本や米国、スイス、ノルウェーなどの7万4690人のデータを解析した結果、オミクロン株感染者のうち後遺症患者の定義に当てはまる人は11%に上ると明らかにした。後遺症に苦しむ人が多くいることが浮き彫りになっている。