その指標が、ACE(小児期逆境体験)。0歳から18歳までに経験する虐待やネグレクト、家庭の問題などの総称で、米国の研究では心身の疾患や問題行動に関連があるとされる。また、ACEスコアが高い人は、重度のうつや自殺を考えるなどのリスクが4倍に跳ね上がるとの調査結果もある。
若いときの苦労は買ってでもせよ」と言うが、逆境は子どもたちの心にどのような影響を及ぼすのか。『ABEMA Prime』では、専門家を招き考えた。
●そもそもACEとは何か
ACEは、Adverse Childhood Experiencesの頭文字をとった言葉。虐待やネグレクト、依存症や精神疾患を抱えている家族がいる、DVがあったなど家庭の問題を包括的に扱っているものだ。
子ども期の過酷な経験の影響を研究し、ACE体験の調査を行った龍谷大・三谷はるよ准教授は、「体験の数が増えるほど、その後に持病を抱える確率が高く、がんや脳卒中、心筋梗塞を含めた病気にもかかりやすい」と調査結果について言及。「メンタル面でも、うつ病や精神疾患にかかりやすく、自殺念慮も高い。さらに人間関係で孤立しやすく、離婚や貧困に至る確率も高く、学歴は低くなりやすいことが日本でも明らかになっている」と説明した。
三谷准教授の著書『ACEサバイバー』によると、実際にACEスコア4以上の人は0の人と比較して、重度のうつ・不安障害になる確率が4.0倍、脳卒中は5.8倍などのデータが出ている。