みんかぶマガジン
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部が最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)と「志帥会」(二階派)の関係先を家宅捜索してから2週間以上が過ぎた。派閥幹部や会計責任者、議員秘書らから聴取を重ねてきた特捜部は裏金疑惑で名があがる議員本人の責任追及にフォーカスを当て、派閥から高額なキックバック(還流)を受けていた議員を逮捕。事件は新たな局面を迎えた。
ただ、自民党内には「本気で最大派閥を追い詰めれば、法務・検察の人事で“報復”されることになるかもな」との声も漏れ、大物議員の逮捕までには至らないとの見方が広がる。政界事情に通じる経済アナリストの佐藤健太氏は「特捜部が“報復”を恐れることがあれば、ますます国民の『上級国民』批判は燃え上がるだろう」と見る。
年末に怒涛の安倍派家宅捜索。柿沢未途前法務副大臣が逮捕された
最大震度7の地震が能登半島を襲った元日、ある全国紙幹部は「大晦日は東京地検の検事たちも年越し蕎麦を食べる余裕があったようだ」と語り、まもなく“店じまい”に入るとの見方を示した。
共同通信は12月31日に「会計責任者らを1月刑事処分へ 高額受領議員側も立件可否検討」と題した記事を配信。安倍派と二階派の会計責任者らを刑事処分する方向で検討し、高額なキックバックを受けていた議員については立件するか否かを慎重に見極めていると報じている。一方で、安倍派では「政治家の刑事責任が焦点」などと特捜部の捜査がトーンダウンしていることをうかがわせる。
特捜部は12月19日、安倍派と二階派の事務所などを家宅捜索。同27日は安倍派から4000万円超のキックバックを受けたとみられている池田佳隆衆院議員(比例東海)の関係先を家宅捜索した。翌28日にも約5000万円のキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載していなかった疑いで大野泰正参院議員(岐阜選挙区)の事務所などを捜索し、特捜部は池田氏と大野氏の立件に傾いたという。