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北朝鮮船激減 中国船は急増 好漁場「大和堆」 新潟県内関係者、警戒強める
日本海の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺で違法操業する北朝鮮船が激減する一方、中国船が急増している。北朝鮮船の新潟県への漂着数も大きく減少。海上保安庁が大和堆周辺で中国船に行った、2020年度の退去警告件数は19年度比9倍増となった。同漁場でのイカの漁期を迎え、新潟県内の漁業関係者は中国船への警戒を強めている。
大和堆は日本海中央に位置する、水深の浅い海底山地。プランクトンが豊富のためカニやイカが取れることで知られ、日本の漁船も操業している。
例年、大和堆では北朝鮮船の違法操業が絶えず、第9管区海上保安本部によると、海上保安庁による北朝鮮船への退去警告は19年度、1300件を超えた。しかし、20年度はゼロ件で、21年度も25日時点で退去警告は行われていない。
北朝鮮から新潟県沿岸に流れ着いたとみられる漂着木造船の数も減少。19年まで3年連続で20件を超えていたが、20年は14件、21年も25日時点で1件にとどまっている。
退去警告や漂着木造船が減少している理由について、北朝鮮情勢に詳しい島根県立大の福原裕二教授は「医療水準が低い北朝鮮は、新型コロナウイルス対策として20年の夏以降、出漁を原則禁止している」と指摘する。
一方、中国船への退去警告は19年度が12件、20年度は107件と急増している。21年度も25日時点で148件に上る=グラフ参照=。中国船の増加理由は明確には分からないが、ある新潟県内の漁業関係者は「北朝鮮が中国に漁業権を売ったからではないか」と推測する。
佐渡漁業協同組合専務理事の内田鉄治さん(74)は「北朝鮮の船が来ないからといって、中国船が増えているので安心はできない」と打ち明ける。
海上保安庁はイカの漁期を迎える5月下旬から、大和堆周辺の取り締まりを強化している。今年も5月25日に巡視船が新潟港を出港。同26日には水産庁との合同訓練を実施した。
9管の白石昌己本部長は「水産庁と連携しながら、適切に対応していきたい」と話した。
新潟日報
(最終更新:2021-06-27 10:47)