刑事告発されたのは、東京24区選出の衆院議員の萩生田東京都連代表と会計責任者、事務責任者の3人。刑事告発したのは、自民党5派閥のパーティ券収入の明細不記載などを追及している上脇博之神戸学院大学教授だ。
◆自民5派閥のパー券不正と全く同じ構図
自民党の東京都連は、2023年1月30日に東京プリンスホテルで開催した政治資金パーティ「東京政経フォーラム」に向けて2022年に販売していた7646万円を収入として政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載している。
ところが、ここには多額の抜けがあった。この該当パーティの参加費として政治団体「東京行政書士連盟」が購入した計34万円、政治団体「日本病院薬剤師連盟」の購入の40万円、政治団体「自由民主党青梅支総部」の60万円など、7団体のパーティ券購入分の合計362万円が、東京都連の収支報告書に明細が記載されていなかったのだ。購入した側の政治団体の収支報告書には記載されていたため発覚した。
この問題を最初に報道したのは「しんぶん赤旗日曜版」だ。同紙の指摘を受けて初めて、自民党東京都連は2023年11月24日に収支報告書を訂正している。
荻生田氏らに対する告発状では、360万円を超える大胆な不記載は代表者抜きに行えるものではなく、代表、会計責任者、事務責任者と共謀して故意に行った可能性を指摘している。また、パーティ券を買ったことを公表されたくない企業からの収入の方がはるかに不記載額は多いはずだとして、今回の不記載の件は「氷山の一角」だと指摘している。
◆安倍派の手口を都連でも実行か?
刑事告発した上脇教授は次のように話す。
「東京都連が20万円を超える政治資金パーティ収入の明細を収支報告書に記載しなかったのは、自民党5派閥と全く同じ手口です。東京都連の代表を務める萩生田光一議員は、裏金を作っていたと報じられている安倍派に所属しています。裏金作りの手口も東京都連ぐるみで行なわれたのではないかとの疑念が生じます。東京地検特捜部にはその点についての捜査も敢行していただきたい」
パーティ券収入の明細不記載は、これまで自民党派閥に対して報道され、刑事告発に至っている。ここにきて自民党の東京都連でまったく同様の疑惑が発覚したことで、他の道府県の組織や支部でもパーティ券不正、裏金作りがあったのではないかと、疑念を抱かざるを得ない。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。