【筑波大学教授】 「マスメディアはなぜワクチンへの不安を煽るのか」

NO IMAGE

【筑波大学教授】 「マスメディアはなぜワクチンへの不安を煽るのか」

1: 影のたけし軍団 ★ 2021/06/26(土) 16:30:33.86 ID:afdDTvzX9
最近のマスコミ報道を見ていると、ワクチンへの不安を煽ることが増えているように見える。 
かつて、コロナへの不安を煽っていたマスメディアは、今やはワクチン不安を煽ることにその姿勢が引き継がれているかのようだ。

私自身もつい最近、こんな経験をした。

私は、今年4月にワクチン忌避に関する調査を行い、その結果を5月にヤフーニュースで公開した。
調査では、20代や30代の若い世代にワクチン接種をためらう傾向が有意に高いこと、それはワクチンへの不安と関連があることなどが明らかになった。

そして、その結果をもとに、どうすれば若い世代に正確な情報を伝え、ワクチンへの不安を小さくすることができるのかの提言を行った。

ワクチン接種が順次若い世代へと拡大されていくなかで、この2-3週間、この調査結果を紹介したいというテレビや新聞の取材が増加した。
それはありがたいことなのだが、一方で調査結果が私の意図と反して使われることが相次いだ。

たとえば、6月20日放送の「Abema的ニュースショー」では、若者のワクチン不安を紹介するコーナーで、
私の調査を紹介していただいた。しかし、番組を観た私は、その後の展開に唖然とした。

MCを務める千原ジュニアさんは冒頭で、「副作用、言葉がちょっときついイメージがあるから、
ちょっとやわらかい今まで誰も使ってなかった副反応にしとこうってね。なんか変な力働いてないって、若い子はどっかで感じてんじゃないかな」と口火を切った。

そして、その場にいたゲストも口々に「私は打ちたくない派ですね。逆に打って、死ぬんじゃないかって思っちゃう」
「特に女の子の場合って、不妊とかっていう噂もあるじゃないですか」などという意見を述べた。

彼の「副反応」という用語に関する理解は初歩的な誤りがあるし、「死ぬ」 「不妊」という噂に基づくショッキングな発言に対しても、専門家によるフォローや科学的情報の提供はまったくないままだった。こうして、出演者が口々に不安を述べ、それに頷き合ったままコーナーが終わった。

結局、私の調査は、「データを見ても若い世代でこんなにワクチンの不安が高まっている。みんな不安だよね」というように、ワクチン不安を煽るような使い方をされてしまったのだ。

その後も別のテレビ局から、データを使いたいという依頼があったが、こういうことがあって慎重になった私は、担当ディレクターから番組の意図や方向性を伺い、その結果、データの提供をお断りすることになった。

ディレクターは、「番組は事実を中立的に伝える」と繰り返し述べていた。
しかし、これまでのメディアの論調は「事実を伝えている」とも「中立的」だとも言い難いものがある。

冒頭で述べたように、メディアの最近の傾向として、「ワクチン接種をしたくない人」に過度に寄り添い、「ワクチンを打たない権利」を強調しすぎている。これは中立でも何でもなく、明らかに一方に与した主張である。

そして、「中立であるべき」という自身の信念に固執しすぎた挙句、科学的エビデンスを軽視しているのでは、逆に自身の信念や価値観によって偏向した態度となってしまっているのだが、そのことに気づいていない。

ディレクターとの話し合いのなかで、私は「今のメディアの姿勢は、中立と言えるものではない。
そもそもワクチン不安を煽るほうに偏っている。人々のワクチンへの不安が強いのならば、それを単に紹介するだけでなく、不安を少しでも和らげ、安心してワクチン接種をできるような情報発信をすべきだ」と述べた。

すると、相手方は「番組としてワクチンを推奨はできない」と述べた。これが決定的な差だった。

「マスメディアはワクチンを推奨できない」という言葉に私は息を飲んだ。
「ワクチンを接種すべき」というのは、イデオロギーではない。政治的主張や意見を紹介するのであれば、そこでは中立性が要求されるだろう。

しかし、現下の危機を乗り越えるために、そしてわれわれ一人ひとりが自分の健康を守るための切り札として、国やWHOなどの公的機関が科学的知見に基づいてワクチンを推奨しているとき、メディアとしてそれを推奨できないというのは、安易な「中立性」に毒されすぎている。

原田隆之 筑波大学教授
筑波大学教授,東京大学客員教授。博士(保健学)。専門は, 臨床心理学,犯罪心理学,精神保健学。

法務省,国連薬物・犯罪事務所(UNODC)勤務を経て,現職。

ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/haradatakayuki/20210625-00244678/


続きを読む

続きを見る(外部サイト)

ニュースカテゴリの最新記事