あわせて読みたい
日本代表練習を特等席で見せて支援金630万…宮本専務理事主導の「クラファン企画」に冷ややかな声
史上初めて元日・国立競技場で行われた日本代表戦は、タイ代表を5-0で下す快勝劇となった。幸先のよい’24年の幕開け、スタジアムにつめかけた6万1916人の観衆も大満足の一戦となったのではないか。
その2日前、昨年12月30日に行われた日本代表トレーニングで、いつもと違う光景が見られた。千葉市内にあるトレーニング会場の高円宮記念JFA夢フィールドに一般の観客が大勢練習見学に訪れていた。公開練習の際は、無料で練習を見学できるため多くのファンが訪れる。紅白戦やシュート練習などは、試合さながらに声援が送られ選手たちも嬉しそうだった。
練習を見学した一般客の中には、施設内に招待されたグループがあった。選手とハイタッチや写真撮影、人によってはサインをもらうなどし、一部はピッチ脇に据えられた特設スダンドから、また一部はクラブハウスのテラス席から練習を見学した。これは昨年12月に日本サッカー協会(以下、JFA)が発表した「JFAクラウドファンディング」の一環で、支援してくれた人へのリターンとして一般客では通常入ることができない施設内のエリアに招待されたのだ。
JFAによれば、2万円支援した方は85人、10万円の支援者が6人、20万円支援は20人。この支援者たちが施設内で特別に見学することが許された。この日、練習場内に入ることができた支援者たちからの支援金の合計はざっと単純計算で630万円ということになる。
試合だけでなく、練習でも選手に単独で直接声をかけることは簡単ではないため、金銭的に支援することで確実に選手からサインや写真の時間をもらうことができ、さらにはJFAへのサポートになるのであればなお嬉しいと考える支援者の気持ちは理解できなくもない。そして、支援者たちの喜ぶ顔に、選手たちが嬉しそうだったのは言うまでもない。だが、サインやハイタッチといった直接のコミュニケーションをリターン(つまり有料で)として行う様子を眺めながら報道陣からは「これはホストクラブと何がちがうのか」「さながら男芸者ではないか」などと呟く声も聞こえた。
昨年12月に開かれた会見では、JFAがプロジェクトを起案して多くの個人、団体の支援者を募って事業を実行することに加え、JFAがプラットフォーマーとなって全国の地域協会や関連団体、選手、指導者、審判員といった個人にクラウドファンディングの場も提供すると発表。’24年末までの1年間で支援総額10億円、起案数350件を目指している。
来年4月からJFA会長に就任予定の宮本恒靖専務理事は昨年12月の会見で「JFAがこのサイトを作ったが各地域のサッカー協会が、遠征費用を募るなどのプロジェクトを起案できる」と助け合いができるシステムを通して、資金不足に悩むサッカーファミリーを支援することもできる、と強調している。ただ、この会見では、日本サッカー界の最高峰に位置するJFAがこの事業を行うことに対し報道陣から厳しい質問が上がっただけでなく、長年、JFAを支えてきた老舗スポンサーへの仁義をきちんと切らないまま発表されたため、全面的に前向きに捉えられているとは言い難いのだ。